1.本来なら星条旗の露出は、中盤の木々のざわめきや物干しにかかった衣類のはためき、情報屋のアジトである304号室の廊下の窓外で揺れる影などと共に何よりも具体の揺れとして画面に呼び込まれるべきはずだが、その頻出はメリハリを欠く上に何らかの象徴的な意味付けを感じさせて少々煩わしい。
逆に議員暗殺現場の路地の照り返しや、回想シーンの中で倒れている妻と娘に駆け寄るリチャード・ギアのロングショット、格闘シーンに入り込む割れた鏡など、所々に差し挟まれたさりげない部分の方が目を引く。
プラント内の監視室のシーン。リチャード・ギアより先に観客にトラップに気づかせてしまうようなモニター画面の映し方も小器用ではないし、主役二人の暗殺アクションの数々は短いカッティングが逆に俊敏性を欠いて物足りない一方、スティーヴン・モイヤーが乾電池二つを呑みこむ1ショットの異様が突出してしまう辺りの不均衡もこの映画の歪な魅力でもある。
尤も、小器用な映画などに面白味はない。