6.《ネタバレ》 人はそれぞれ価値観を持っています。生きる上での基準。何が正しくて、何が間違いか。何が大切で、何がどうでもいいことか。ほとんどの人のそれは、社会が許容する範囲に納まるはずです。自分もそう。ホテルに集う人々のそれも、そんなに変わらない。ただ一人の例外を除いては。それがトムトム。彼が他の人々と違うのは、精神的な特徴に所以するのではありません。それはひとえに、彼がエロイーズに恋していたから。恋は価値観を一変させます。「エロイーズと出会って自分は生まれた」という彼の言葉からも、そのことが伺えます。ですから、本作の出来事は万人にとっては悲劇でも、トムトムにとっては違うはずです。イジーを結果的に殺めてしまったことも、あの結末を自ら選んだことも、社会的には許されません。でもエロイーズと過ごした時の重さの前では些細なこと。彼は幸福感に包まれて死んだはずです。人を想う力は世界を変える。そこに自分は、憧れと恐怖そして哀れみと虚しさを感じました。トムトム役のジェレミー・デイビスの演技は抜群でしたが、キーパーソンはエロイーズ。彼女には有無を言わさぬ美しさが必要でした。男が本能的に心を奪われるような。でもそれほどの美人でありながら、ホテルの住人の中に溶け込まなくてはならない。その難しい役どころをミラ・ジョヴォヴィッチは見事に演じていたと思います。普段は生気なく所在なげに。しかし、ふとした仕草や表情は男を虜にするほどに。トムトムと心を通わせるうちに、彼女はどんどん魅力的になっていきました。まるで死者が息を吹き返したかのよう。トムトムの死に客観的な救いがあるとすれば、この一点に尽きると思います。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-05-30 17:58:07) |
5.この映画を観て、果たして私はエロイーズのような立ち振る舞いで居られたのであろうか、と今までのことを回顧した。真正面から、私の実生活に居たタムタムときちんと、向き合えていただろうか。核心を突かれて、とても痛い映画だった。でもこの映画でタムタムを愛せたことによって、少し救われた気がする。切ない、なんて言葉じゃ言い表せない映画。 |
4.美しい映画だとは思う。お洒落で現代的だとも。だけど映画自体に今までのヴィム・ヴェンダースの作品のような重厚感はあまり感じられなかった。何も知らずに観ていたら多分、期待の若手の監督の作品かな?と思っていたと思う。表層的な美しさと今どき感はあれど、深みはあまりない。でも世界観構築のセンスはやはり良い。「ミリオンダラー・ホテル」という名前でありながら、住むのは富などとは対極の所にある者たちばかり。この人生の皮肉と脱落者たちに見る人生の美学。その視線は相変わらず好きです。内容はずしんと来なかったけれど、やっぱりどうしてもこの世界観が好きなので、8点献上。 【ひのと】さん 8点(2004-06-03 11:53:07) |
【愛人/ラモス】さん 8点(2003-12-29 10:54:52) |
2.この映画は、わたしにとってちょっとした衝撃を受けました。あんまり理解できていないかもしれないけど、悲しかったです。それでも、この映画の世界はよかったです。 【お抹茶プリン】さん 8点(2002-09-05 19:52:56) |
1.社会に行き場を失った人々が集まるミリオンダラー・ホテルを舞台に描かれる、知的障害を持つ男の子とちょっとだけ精神を病む女の子の悲しいラブ・ストーリー。男的には、恋愛映画で楽しめるかどうかの最大のポイントは女優さんを好きになれるかどうかということ。ミラ・ジョヴォヴィッチは最高。ミステリアスな不思議少女やらしたら彼女に勝てる人はいないのでは?トムトムと同じようにオレもドキドキしてた。しかしなぁ・・・純粋すぎるから悲しい。 【鉄コン筋クリ】さん 8点(2001-12-06 22:59:59) |