1.《ネタバレ》 VODで鑑賞。
映画やドラマの人間関係の描き方って実のところ独特で、それは登場人物の個性を印象付けるためだったり、ドラマティックに物語を組み立ててゆくためだったり。でも実際の人と人との距離ってこんな感じだよね、って思わせる映画。
人は基本、孤独で。だから生きるには他の人との繋がりが大切だけれど、近付くべき距離、踏み込める領域、その微妙な間隔を計って(他人の領域に土足で上がり込むような無神経な人間でもない限り)生きていて。
この映画は、その距離感を絶妙な描写で浮かび上がらせます。
フレームに入っている人、フレームの外側にいる人、フレームの中の人同士の距離、特定の人物がフレームイン、フレームアウトするタイミング、何気なく撮られているようでいてカメラは4人の登場人物の間に存在する距離とバランスをきっちり計算して描いています。
海辺に等間隔に離れて置かれた4人に波が押し寄せてお互いの距離が縮まる、その象徴的な瞬間をよくも見事に捉えたもので。
映画内では特に何も起こらないのですが、風に乗れず、逆風を受けた時、何が大切なのかをそっとささやくような、心に染みる作品でした。