1.派手に車体をぶつけるばかりが能ではない、というカーチェイスがいい。
車種を幾度も変えつつ、
追走するパトカーの目眩めくライトの光芒がテンポの良いカッティングの中で
美しく映えて、車体の接触など一度も無いことが逆に一層の緊迫感を煽る。
運転座席での携帯通話という図の繰り返しは単調になりがちだが、
通話しているアマンダ・サイフリッドの背後の窓ガラスに意識的に
映り込んでいる雨滴、緩やかに流れていく街燈の光やマジックアワーの明かり、
そして森の闇が画面の動的なアクセントとして機能している。
「Just Watch Me」と懐柔を拒否し、「I lied」と何の躊躇もなく
マッチの火を洞穴に投げ込み復讐を果たすヒロインの清々しいまでの豪胆。
全編に一貫した、一切躊躇のない無頼派の行動が何より魅力だ。