8. 原作や前後作の存在を全く知らず、ネットで高評価だったから、という理由のみで視聴。その通り、高評価です。
花とアリス「殺人事件」と言うくらいだから、日常の中に突如として訪れる事件、殺人事件。それを女の子2人が解決していくミステリ系映画かな、とか思いましたが、全く違う。断じてミステリ映画ではなく、というかミステリ要素などなく、「中学生(なんなら小学生)時代の自分にしかわからない思い出」を描いた作品です。
中学2年生時代に自分が見えていた目線、見えていた世界、その中でも特に記憶に残った出来事をものすごく丁寧に、共感できるように描いた、という感じの本作。大人になると当然大人目線の見方ができるようになるわけですが、この映画は当時の感覚を思い起こさせられる。いつも通りの日常の中に、ちょっとだけ違ったものが紛れ込む。それは転校生だったり、いつも空いていた机だったり、何考えてんのかわからない同級生だったり。
その「ちょっとだけ違ったもの」について、それに入り込むか、よくわかんないけどスルーしてなんとなく時が流れるか。その「ちょっとだけ違ったものに入り込んだ」のが本作の主人公です。中学生の時に「ちょっとだけ違ったもの」は大人の目線からしてみれば「ああそういうことね」となってしまうようなこと。だから、当時の記憶に没入して、主人公の視点に入り込めればぶっ刺さる、ものすごく良い映画だ、ということになります。
今ならわかる「周りの大人たちの優しさ」「中学生だからこそ感じたワクワクドキドキ」「中学生だったからこその無鉄砲さと自己中心さ」「解決したこともあれば、結局あれはなんだったんだろうと思いながら過ごす日々」、そこに共感させられざるを得ない。
じっとりしっくり、良い映画だと思わせられるのが本作。
360度シーン、鳥肌です。