1.《ネタバレ》 原作はどの様な描き方なのか知りませんが、実話物はこんな話が
ありましたってな感じで、唐突に終る事が多いのですが、本作は
しっかり物語として成立してます。
私は主人公の旅を通して人生や孤独について考えさせられました。
「生きる事は、何かを得る事なのか、失う事なのか。」
彼女を童話のヒロインの様に非人間的に描く事によって
旅も寓話の様に感じられました。また映像も3000キロ歩くという
壮絶な事実の描写を抑え汗一つかかないヒロインが象徴する様に
意図的に美しい絵にこだわった撮影のおかげでラストまで
心地よい時間が流れます。絵だけでみれば、ワイエスの絵画や
ナチュラル系のファッション誌が動き出した様にオシャレです。
出来れば、ブルーレイや音響の整った環境で部屋を暗くして
観て頂きたい作品です。
LED電球よりたき火、MP3よりカセット、フリースよりコットン
それらがどんなに贅沢なのか、色々考えさせられました。