2.三部作の中で一番好き。終始、落ち着いた赤の画のなかに佇むイレーヌも枯れた味わいのジャン・ルイ・トランティニヤンも美しい。三部とも、女優を美しく撮っている監督だけども、イレーヌのこの美しさ!横顔が最も綺麗な彼女のプロフィールを大写しにし、メインシーンとラストに持ってくる監督の愛情の深いこと。若い女に恋する老境の男でありながら、生臭さの全く無いトランティニヤンの知的で清潔な風貌も素敵。
思わぬところで交錯する人生の機微に胸打たれます。こんな脚本は何年も経験を重ねた人間でないと書けないだろうなあ。期せずして若き頃の自分の人生を重ねたような司法学生と理想の女性を引き合わせた形になった元判事。人生初の安堵というか、平穏を得たようなラストのしみじみとした表情は忘れ難い。