4.《ネタバレ》 「リンカーン」を観たときも、あぁスピルバーグは変わったなぁと感じたものですが、本作はそれがより一層ですね。
映画的な映画を作ってきた彼が、現実的な映画に徹した。実話だからというのもあるけれど。
特に音楽がですね、最初30分は全くないし、あってもうっすらと要所に入るぐらい。さすがに終盤は歌い上げてきますが、
エンドクレジットで音楽トーマス・ニューマンと出てきてまたびっくり。ありゃ〜!ジョン・ウイリアムズでもなかったのね。
まぁとにかく、この作品にはこういうリアリズムが良いと思います。
主人公は弁護士でありますが、当時は米ソ冷戦。核戦争の脅威がリアルなものとして存在してる時ですから、
周囲がドノヴァンに対し冷徹な態度をとるのも多少仕方ないかと思うし、また自分の信念を貫き通すのも大変だったろうと思いますね。
ドノヴァンは国賊のように色々言われてたけど、その後は自分の身を危険にさらしてでも人質との交換のために奔走する。
彼こそ真の愛国者ですね。日本の人権派も見習ってほしいものです。
どうしてアベルに好意を抱いたのだろうと最初は不思議に思ったものですが、自分の信念を曲げずに理想高く生きるその様に
自らを重ね合わせ共感したからなんだろうなと、橋の上での人質交換の様子を見て思いました。
アメリカとソ連だけでなく、東ドイツも絡んで複雑になることが話を面白くさせております。
偽家族のエピソードは笑ったし、「抱きしめるか後ろに座らせるか」のエピソードも後を引き考えさせられる。良い脚本です。