1.出演しているハーバードの研究者がいみじくも語った「築地の仲卸は魚に情報を付与して商品としての価値を高めている」、なるほどこれは目から鱗、これほど的確に卸の役割を説明するとはさすがハーバード大学です。そのためには言葉というかコミュニケーションが大事な要素で、大勢登場している老若の仲卸業者が魅力的な男たちなんでほれぼれしてしまいます。そして築地市場は株屋の世界に通じるところが多々あり、言ってみれば仲卸は証券マンみたいな存在だと感じました。年内最終日には手締めをするのも同じですしね。客として仕入れにくる有名な料理人たちも仲卸を全面的に信頼して勧める魚を買う、これなんか証券マンと顧客との理想的な関係じゃないですか。 80年前の開設当初の築地の貴重な映像も流れて、ここが時代の最先端をゆく施設だったことが判ります。果たして移転した先でこの世界随一じゃなくて唯一の市場は、どういう姿を見せてくれるのか不安でもあり楽しみでもあります。