4.昨年の劇場公開時から世の好事家たちからも絶賛の嵐だったアニメ映画をようやく鑑賞。
原作となった児童文学はシリーズ全20巻(2003〜2013)が刊行されている人気作品らしいが、世代的に全く重なっていないこともあり、タイトルすら聞き覚えがなかった。
前評判が無く、このタイトルとポスタービジュアルだけを見聞きしただけだったとしたら、絶対に鑑賞に至らなかっただろう。
が、そういうあり得なかった「機会」を生んでくれるから、現代社会は有り難い。
評判通り、期待通りに、真っ直ぐに良い作品だった。
その混じり気のない純粋な“良い映画感”は、まさしく児童文学を原作にしているに相応しく、これから色々なものに成長していく多くの子どもたちに観てほしい映画だと素直に感じる。
純粋な少女の成長を描いた瑞々しい作品であることは間違いないが、幅広い映画ファンからも激賞を引き出しただけあって、描き出されるストーリーは、実のところあまりにも重く、悲しい。
何の罪もない少女のふとした瞬間に訪れた「不幸」は、理不尽で、只々辛い。
ただ、その不幸は、理不尽だからこそ、実はこの世界に生きる誰にでも起こり得る類のものであり、事程左様に身につまされる。
自分の大切な愛しい人たちといつものように笑い合っている次の瞬間に、突如としてすべてが叩き潰される。
そんな不幸の可能性は、いつだって、誰にだって、人生と隣り合わせで存在している。
もしそんなことが我が身に起きたなら……と、考えただけで辛くてたまらない。
でもね、そんな人生の普遍的な辛苦を、この映画の主人公は、明るく、やさしく、懸命に乗り越えていく。
とんでもなく悲しく、辛い運命を、その小さな体と笑顔で受け止めていく主人公。
それはもう幼気な女児の健気さなどではなく、ただひたすらに強く、魅力的な“女性の姿”だった。
人間、傷つかずに生きていけたならば、それに越したことはないのかもしれないけれど、そういうわけにもいかないのが、人生というもの。
泣いたっていい、当たり散らしたっていい、ふさぎ込んでもいい、ただその先に、そういう自分を拒まずに受け入れてくれる存在に出会えるかどうか。
人生の価値は、そういうところで表れてくるものだと思う。めちゃくちゃ泣いた。