1.《ネタバレ》 演技の自然さ、それでいてのキレ味の高さも素晴らしいし、これも非常に自然ながら十二分なリアリティを兼ね備える展開運びもお話としての見応えまで抜群、と、短編としては最高クラスによく出来ていると思う(このクオリティのまま2時間の映画に拡張できたとしたら、製作者はその時点で超一流と言えるだろう)。
そして何と言うか、LGBTという要素の「難しさ」が凝縮されていた、という様にも感じられる。残念なことに当然、まだ世の中には無理解や悪意といった明らかに不適切な意識を持ったままの人も居る、がソコに加えて、そういった悪意ではなく善意の方をある程度十分に持ち合わせていたとしても、実際に身の回りにそういった人が現れた場合に、どういう行動を採るのが適切なのかそれが分からない・判断できない(あるいは判断を誤ってしまう)という人がまま多い、ということなのだとも思う。そしてそれは同時に、そもそも現在の社会自体が、根本的にこのトピックスについて何が正しいのかということの「答え」を出せていない側面が非常に多い、ということだとも思うのですよね。
個人的に、今の社会的な潮流というのは、このトピックスを単純化してまとめて片付けよう、という方向性を強めてゆこうとしている様にも感じることがある。私は、一番重要なのは社会的な意識・コンセンサスだと思っている。この複雑で多岐に渡る「問題」は、そーいう方法では解決しないのではないか(むしろそれは、解決への距離を遠くするのではないか)という気がしている。