1.難攻不落の山と、それに挑む人間。これも僕の好きなジャンルの映画。
そのスリルという点ではトップクラスの作品にして、色んな意味で異色作でもある。
本作はフリークライマーのアレックス・オノルドが命綱などを一切使わず、
自分の体ひとつでヨセミテ国立公園にある断崖絶壁の岩山に挑むドキュメンタリーですが、
実際の挑戦に至るまでの命綱を使ったリハーサルをたっぷりと見せる。
しかし、これが実際に挑戦となる終盤に効いてくる。
失敗が続く。命綱が無ければ、彼は命を落としている。
過去にチャレンジに失敗し命を落としていったフリークライミングのレジェンド達の紹介まで挿入される。
見る者はいかにこれが危険なチャレンジであるかを思い知らされます。
こういう映画の一番の見せ所は、「一体どうやって撮影したんだろう?」
見る者にそう思わせる迫力ある映像。
本作にはカメラマンや撮影クルーが出演者として登場する。
実際にどう撮影しているかを見せるシーンまである。
最後のフリーソロで、彼の挑戦を直視できない撮影クルー。その心情も痛いほどに伝わる。
更に、撮影クルーのみならず、彼の恋人や母親が登場するというのも異色です。
彼の命がけの挑戦を捉えるドキュメンタリーとしても、一人の人間を捉えるドキュメンタリーとしても素晴らしい作品です。