1.《ネタバレ》 ゾンビの出てこないゾンビ映画、みたいなイメージを受けたのね。閉館の決まったショッピングモールに象徴される、暗く澱んで死に向ってゆくかのような世界、繰り返される日常の中で腐ってゆきそうな高校生たち。
でもそこに生への足掻き、抵抗があって、それは痛いけれど、でも羨ましいわ。深夜のショッピングモールに忍び込んで過ごしたひと夜の狂乱が確実に刻むモノ。その意味。
最初に提示され映画の進行に常に影を落とし続ける具体的な破滅、死のイメージは実のところミスリードだったりするのだけれど、そこに堕ちてしまう危うさを内包しつつ、でも映画はあくまで希望を志向してるのね。
映像が暗いの。最近の日本の青春映画にありがちな、画面全体をキラキラ飾りつけようとしてる、あまりに世界をハイキーで描こうとするあまりにヒロインの顔面が白飛びしちゃってるようなモノとは正反対の、光量が絶対的に不足した画ばかりの映画。それはこの世界や高校生たちの心象を映しているようでもあるけれど、同時に夜明け前のようでもあって。いつか照らされる時が来る、その前のずーっと奥行きのある闇、みたいなイメージ。その暗さもまた心地良いわ。
背景になる生活空間が持つ独特な空気感の中で、じわじわと沁みるように高校生の不安定なココロを描いた青春映画の秀作ね。
ただ、今のコたちにブルーハーツは無いんじゃないかしらねぇ。アタシ自身の中にもブルーハーツが無いのでそこには違和感を抱いてしまって。その世代からのお仕着せ、みたいな気がしてしまったわ。
あと大阪人、やっぱり普通にお好み焼きをおかずにご飯食べるのね・・・