1.カナダ映画らしいですがスタッフ・キャストも内容もほとんどアメリカ映画です、冒頭いきなり星条旗がたなびいております。この映画の簡素さ・静けさはただ低予算であるというだけでなくある程度の思想性も感じさせます。イラク戦争やリーマン・ショックを経験したアメリカでは既存のアクション映画のような楽観的・大量消費的ムードではいられない、そういう内省的・批評的なムードが基調にあると思います。この映画では放たれる弾丸はわずかなものですが、ほぼトーマス・ジェーンとローレンス・フィッシュバーンの視線の交錯だけで一本のアクション映画として成立させています。ガンアクションとは何かというとただドンパチするだけではなく、相手を視界に入れ自分は相手の視界から消えようとする、そういう視線の演出こそが重要なのだと気づかせてくれます。