1.《ネタバレ》 かつて西表島には「緑の牢獄」と呼ばれる炭鉱が存在した。
そこで働く坑夫のほとんどは外国人で台湾人が多かった。
今や炭鉱の跡は西表島のジャングルに埋もれている。
軍艦島の炭鉱は有名でも、西表島の炭鉱はあまり知られていない。
西表島の炭鉱にまつわる生きた話を語る橋間良子氏。
この映画の主人公だ。
橋間さんは10歳の頃、親に連れられ台湾から西表島に越してきたそうな。
それから80年が経過し、西表島にある荒廃した家屋で一人暮らしをしている。
壮絶な人生を送ってきたであろうことは、シワやシミだらけの肌や身なりから伺い知ることができる。
台湾で生まれたのにその後80年もの間、西表島で暮らしてきた。
その苦労たるやいかほどのものか。
そして今は一人で暮らす日々。
どれだけの孤独を背負って生きているのか。
エンドロールで橋間さんの若い時の写真が映し出され、そこに「橋間良子氏に捧げる 橋間良子(1926-2018)」と字幕が出た時、なんとも言えない気持ちになった。
時間の重みを感じる良質なドキュメンタリーだ。
(追記)
炭鉱の管理者がモルヒネを扱う許可を持っていて、坑夫たちにモルヒネを売っていた。
坑夫たちはモルヒネ漬けになり賃金のほとんどをモルヒネと食費とで使い切ってしまうため、金銭的にいつまでも炭鉱を抜け出せない。
作中で語られるこのエピソードが怖すぎる。
このエピソードのせいで西表島の炭鉱の歴史は閉ざされたままなんじゃないかと勘繰ってしまうほどヤバい。
ヤバい怖いブラックなエピソード。