4.《ネタバレ》 リドリー・スコットの初監督作品。
低予算と聞いていたが、驚くほど丁寧に深く作り込まれている。
男の生き様というものを描き込んだ作品。
特に意味がなくても、己の“誇り”のために戦い続ける男たちが熱い。
終生のライバル同士が戦う理由なんて特別要らないという潔さも男らしい。
諸葛孔明と司馬懿、アムロとシャア、信玄と謙信のような、出会えば戦わざるを得ないライバル関係が描かれている。
また、ライバルだからこそ、言葉を交わさなくても相手のことも理解できるのだろうか。友情とは完全に異なる微妙な関係が面白い。
ロシアにおける雪中でのやり取り、獄中のフェローを救うなどのエピソードも二人の関係を複雑かつ豊かにしている。
彼らの戦いが終わり、晴れているような雨が降っているような複雑な景色が彼らの心境を表しているように思われる。
生きているのか死んでいるのか分からないようなフェローの複雑な表情と上手く絡み合っている。
降っている雨が顔に掛かるフェローが、まぶしそうに朝日を眺めている。
朝日がデュベール、雨がフェローのような気もした。
“戦い”も男にとって必要なのかもしれないが、ラストでは自分の奥さんやブーツ職人の義父という家族にまでも目を向けられている。
壮絶な“戦い”を感じさせずに、奥さんと果物を見せて笑い合う姿にも男の生き様が込められているような気がした。
男の生き様や、男の誇り・プライドといった言葉では語れないものを、映画という形で語っていることが素晴らしい。
ましてやデビュー作でそれをやってのけることにリドリー・スコットの能力の高さ、才能の深さが窺われる。