8.《ネタバレ》 やっと観れたジャック・ベッケル監督の代表作。
画家“モジリアニ”の人生をドラマティックに描いた伝記映画である。
やっぱり何度観ても1950年代末から60年代初頭にかけてのモノクロ映像は鮮烈で鋭利で素晴らしい!
カラーでは絶対に感じることのできない映像的魅力を強く感じる。
36歳で夭折したフランスの美形俳優ジェラール・フィリップに、私の大好きな女優であるアヌーク・エーメが共演した本作。
このキャスティングだけでも十分に鑑賞に値する。
上に書いた様に若き日のアヌーク・エーメが出演しているのだが、これが参ってしまうほどに美しい。
劇中のモジリアニが惚れこんでしまうのも納得の、心を奪われる様な美しさを存分に発揮している。
エーメを抱き寄せ腕を執拗なまでに撫で撫でしているフィリップに、観ているこっちは羨ましくて仕方ない。
そしてジェラール・フィリップ。
彼の出演作を初めて観たのだが、これがまた魅力的。
本作ではとにかくモテる。
彼の周りには美しい女性ばかり。
そしてその女性のほとんどが彼に好意を持っている。
またしても羨ましい。
魅力ある男に美しすぎる女。
観ていてひたすら羨ましくなる映画だ。
だけど嫌味は感じない。
憧れの対象として目を奪われるばかりだ。
ストーリー的にも申し分なく、最後まで気持ちよく魅せてくれる。
そして本作における三人目のキーマン、リノ・ヴァンチュラ。
彼が演じるのは、モジリアニの死を何ら手を差し伸べることなく待ち続け、彼の死後、彼の作品を非情にも買い漁っていく画商の役。
モジアリニの才能を生前、誰よりも買っていたのは彼であったような気がする。
その彼が誰よりも彼の死を待ち望む。
皮肉で味のある話だ。