3.《ネタバレ》 学校の歴史の時間に教わって文字として知っている程度の私の知識の一つ、「アパルトヘイト」について扱った映画です。
映画は所詮作り物ですが、教科書でアパルトヘイトの説明をただ受けるより、良かったと思います。まず驚いたのが、アパルトヘイトにおける黒人差別が意外と最近の話だということです。作中どんどんと時系列に沿って話は進んでいくのですが、だんだんと自分の生まれた年代に近づき、ついには追い越して、自分が9歳とかその辺のときにようやく制度が終わったんだと知りました。ほんとう自分不勉強なのですが、その時間のリアルさにショックでした。
黒人たちの差別への抗い方も少々訝しくなりながら鑑賞。「白人側に訴えを聞き入れようとする気がないから武力闘争になるんだ!」とか、無関係の民間人が自分たちの活動によって死んでも仕方ないというコメントは正直どうなんだと思ってしまいます(この辺が自分は平和ボケなのかもしれません)。絶対民間人は巻き込まない場所や時間を選べないのかとかマンデラに言いたくなりました。と言うかグレゴリーに言って欲しかった。
この映画で結局解決しなかったissueは二つ;
「暴力・武力などを含む徹底的な差別に対し、同じ手段で世論に訴えようとするのは正義なのか??」
「白人たちは無条件に黒人たちを受け入れるべきだったのか??」
です。
私は平和ボケなので、どちらの肩も持たない視点で物事を見ることができます。世論が極端に黒人への差別で傾いている中、黒人の友人も持たず彼らに対して知る機会もない白人たちが黒人を必要以上に避けたくなるのもわかりますし、それが不服として白人に抵抗する黒人の気持ちも分かります。黒人側は経済的に搾取され、白人はそのぬるま湯にどっぷり浸かっているという形では、白人からの制度是正は確かに難しかったと思います。
しかし作中のグレゴリー君のように黒人の友人をたった一人でも持ったことのある人ならもっと違ったのではないでしょうか??彼らと人間的な付き合いがあり、世論が言ってるような人ではないと分かれば、そんな人がもっと多ければ、こんな事態は起こらなかったのではないでしょうか。
そういう意味で、邦題は『マンデラの名も無き看守』ですが、しっかりと名を持ってこの出来事と向き合った『グレゴリー君』に敬意を払いたいと思います。
タイトルだけは原題でいってほしかったな・・・。