4.「何のこっちゃ」な邦題ですが、映画を見ればこれが意外に「どストライク」な邦題であったことに気づきます。 映画の内容の方も、あくまでホラーでありファンタジーなので、こういう事が実際に起こり得るかどうかは問わないことにし、細かい部分まで納得のいく説明がなされているかも問わないことにすると―――そういう事を問うのは元々、野暮というものだけど―――「何のこっちゃ」な展開かと思いきや、最後まで見ると、邦題のコンセプトに沿ってそれなりにまとまった内容であり設定であったことがわかります。 にも拘らずこの作品には、気持ち悪さ、落ち着かさなさ、といったものが横溢しています。何とも言えぬ、割り切れなさ。 前触れなく、突然、映画に登場する襲撃者。映画の中でその正体は明かされるものの、この最初に登場した時の「いる訳のないものがいた」「見てはいけないものを見てしまった」という感覚、これがずっと尾を引いて、最後まで何とも言えぬヤな感じが続きます。確かに、「怒り」の象徴としてこの異形のものたちは存在するのだけど、そういう可視化された「怒り」の裏には、可視化しきれない人間関係のドロドロしたものが渦巻いている。もっとも近接した人間関係である家族、その家族の中にすらドロドロが渦巻いている、という落ち着かなさ。わかっちゃあいるんだけど、それをこうやって映画で突きつけられると・・・。 音楽はハワード・ショア。まだキャリア初期の仕事だと思いますが、これまたなかなかに落ち着かない音楽を響かせて、ヤな感じをしっかり増幅してくれます。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-09-02 13:17:54) |
3.クローネンバーグは気になる監督でありながら、「ザ・フライ」しか見たことがなかった。「ザ・フライ」は社会風刺の入ったSFホラー作品であったように思うが、こちらもいま見ても色あせない社会風刺の効いた作品。どちらかといえば、今の日本の家族論にかなりはまっているように思える。主人公の妻は、幼少期に母親から虐待を受け、それが元で精神科の医師に隔離治療を受けている。そして、彼女の怒りのメタファーが次々と惨劇を起こしてゆく・・・。クローネンバーグのシャープなホラーにいまさらながら脱帽であった。 【如月CUBE】さん 8点(2004-03-03 12:37:13) |
2.やっぱクローネンバーグはいいねえ。あやしいおどろおどろしさと、鮮血スプラッタが見事に怖さのツボを押さえています。子供が人を襲う設定も、身近な存在なだけに怖さ倍増。しかしキャンディス演じる子役は凄いね。あんなに小っちゃいのにしっかり演技してるんだから。でも、こんな怖い映画に出ちゃったらトラウマにならないか心配です。 【tantan】さん 8点(2004-02-12 00:01:02) |
1.《ネタバレ》 息苦しいほどの閉塞感が全編を通して画面を覆う。女性が観たら生理的に受け付けず、激怒すること必至の内容。しかし、本作は女性の心理がわからぬ男の愚かさを無意識に描き続けるクローネンバーグ作品であり、逆に言えば、それだけ女性が男性などが理解できないほどの存在であることを示している。ちなみに、本作は妻とのどろ沼の離婚劇で精神が摩耗した状態での作品である。 【恭人】さん 8点(2003-11-28 09:39:37) |