3.人の好い人間が生きにくい競争社会で萎縮してしまう姿と、ストレス発散するように生き生きとリングで暴れまわる姿の対比が人間の哀しさや強さ、可笑しさまで感じさせる。何かに夢中になるというのは凄くパワーの要ることで、それが生き甲斐となると日常生活の原動力ともなる。その力こそ普段は隠れて見えない人間の根底にある生命力というものであり、その人の真の姿なのではないだろうか。マスクを外した時こそが本領発揮の時なのだ。 そして何よりデホを演じるソン・ガンホが素晴らしい。上司からバカにされ、憧れの人から相手にされず、親からも認めてもらえないという情けないキャラクターに魅力を吹き込み共感させてしまうのだから恐れ入る。哀しき小市民の人生がユーモアたっぷりに力強く描かれており反則王を応援せずにはいられなくなる。