1.《ネタバレ》 当たったのに失くしてしまった宝くじをめぐるドタバタ。警官たちが列をなして屋根の上をビクビクしながら渡っていくとこや、借金取りが列をなして階段を上がっていくとこなどに、トーキーだけどもサイレントコメディの味を残している。サイレント経験した監督は、映画としてのリズム感がいいんだな。劇場に舞台が移ってますます快調、上着の取り合いから、メデタシメデタシかと思うところでひょいと悪漢に奪われたりと、緩急織りまぜ一気に見せていく。しかしこの悪漢もルパンの国の悪漢だから、単に金目当てでないことが分かるの。そして一同おおはしゃぎの群舞に合唱。「金こそすべて。金だけが人生じゃないと言うけど、それはお金持ちの言うこと」って歌詞が痛快。『ジャイアンツ』でジェームス・ディーンに似たような意味のせりふがあって、ハリウッドはさすがうまいせりふ作るな、と思ってたんだけど、もっと昔にフランスにあったんだ。人が出入りするということがどうしてこんなに面白いんだろう。追いかけられつつ追いかけるということが、どうしてこんなに面白いんだろう。