2.《ネタバレ》 怪奇映画が好きな人ならノックアウトしてしまう程の濃厚な怪奇幻想の雰囲気。
序盤の退廃的な風景は素晴らしい。
タナー嬢のゴスロリな美しさ、フィッシャーの精神的に憔悴した感じが見事。
演技を超えたキャラクターは本気度があり迫力が漲る。
この映画の霊現象もまた迫力が凄い。
そして重苦しい恐怖が暗い。
本物のオカルト映画という感じがする作品だ。
洋館の雰囲気はどのホラー映画よりも素晴らしい。
ベラスコの狂気の人間像がこの作品の中で生きている。
タナー嬢が中盤から終盤にかけて色気を増してくのがヤバい。
若くて美しいタナー嬢の霊媒体質が性的に利用されてゆく様が生々しく描かれている。
これはオカルトホラーとして非常にレベルが高い。
この作品は呪いのようなものが感じられて気が重くなる。
この作品の古臭さはカルトさと幻想的なムードを高くしているので本格ホラーの魅力だと感じる。
目新しいホラー演出が好みの人には全く向かない。
淡々としていて物語の運びが少々悪いのかもしれない。
ただそれは飾ることよりも描くことに専念しているからだと僕は感じた。
そのリアリティー重視なところが良い。
あまり納得がいかないのは、霊的な力を科学の力で打ち消してしまうということだ。
これだけ邪悪な霊力を見事に描いた作品が何故そんなガッカリな事をしてしまうのか。
最後は邪悪な霊力よりも人間の狂気にゾッとしてしまった。