10.毎日猛暑だし、四谷怪談で涼もうかと。 ・・・怖い~涼しい~極悪。 夏にぴったり。 邦画ですが字幕つけて鑑賞。 知らない言葉も漢字で見ると分かりやすい。 配信だったら字幕付きが、より楽しめます。 伊右衛門と直助の悪っぷりは見どころ。 金の為ならどんな嘘でも、つらつらと。 特に、直助役の俳優さんの自信に満ちた演技が怖かった。 伊右衛門の葛藤も物語りを深くした。 前半のドラマも見やすいが、何と言ってもお岩の変身からの後半が良し。 彩色と特殊メイクとセットと熱演。 ある物をすべて使った力業、熱意を画面からヒシヒシと感じた。 画質は劣るが、じいっと見て、その時代のものとして脳内補正する。 良さがじわじわくる名作。 【たんぽぽ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-08-01 10:14:03) |
9.《ネタバレ》 今回、同年同月公開の大映版を観た(観比べた)のですが、やっぱり今作はその「恐ろしさ」とゆーのがも~ケタ違いでしたよね。直助はひたすら単なる「悪魔」という様な(見事な)極悪人であって、んで伊右衛門だってソレに負けず劣らずな忌むべき大悪漢ではあるのですし。だからこそ、その一番肝心なお岩さんの怨念の凄まじさ・奥深さもシンプルにより引き立っているとゆーか、話の内容も恐怖描写もやっぱトンデモなく深遠で迫力の有るモノでした(特に戸板に打ち付けられて以降にトコロ構わず出て来まくるお岩さんはマジで夢にも見ちゃいそう…てなモンでして)。ただ、更により優れていると思うのは、伊右衛門を前述どおりに極めてヴィヴィッドに悪人として描くコトでその面での凄惨さ・凄みを決して損なわないながらも、多少の風味付けとして少しばかり未練や躊躇・完全に良心が欠如しているというワケではない「人間らしさ」的なモノも同時に描き込むコトを可能にし、結果としてソレが作品全体により複雑な味わいを与えているとゆーか人間ドラマとしての見応えをもキッチリ高めるコトに成功していたな…という点ですかね。結論、超レベルに強烈な(トラウマ級の)映画になっているとは思いますが、恐怖映画としてのクオリティは普遍的傑作の域(=金字塔)と言って好いモノかと思います。必見ですね。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-02 23:15:17) |
8.《ネタバレ》 『四谷怪談』の名作であり古典。天地茂が演じる【ダメな二枚目】伊右衛門はプライドの高さが災いして嘘に嘘を重ね、悪行を重ねていくワケなんだけど、自分が手を汚すことはすごく嫌がる小心者。お岩さんの毒殺を持ちかけられ、しばし絶句し、その無言の顔を夕陽が真っ赤に照らしている十数秒間は【エヴァ的】というか【北野映画的】というか。ちょっと「おーっ!?」となりました。 もろもろの悪行がすべてバレてからの怒涛のクライマックスは、個人的には『イベントホライゾン』を連想させるようなサイバーSF感すら感じさせて素晴らしかったです!そして最後に「お岩、許してくれ…」と伊右衛門は言うんだけど…そういうトコも含めて…全部ダメな男だよ…。 ラストシーンの【聖母感】、世界のすべてを洗い流すかのように清らかで美しく良いシメでした。 【幻覚@蛇プニョ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-06-13 17:23:00) |
7.《ネタバレ》 鬼畜、人間のクズ、ゲス、殺人鬼の伊右衛門が、究極におぞましいメイクのお岩さんに復讐されるという、正しく、完成度の高いジャパニーズホラー。 鬱ストーリーの前半から一転、これでもかと化けて出まくる怒涛の後半戦はもはやお化け屋敷コントに見えてきて笑ってしまった。やっぱホラーはやり過ぎるくらいが良いよね。たった76分ながら濃密で怖面白かった。 夏に観たい一本。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-05-26 22:09:57) |
6.《ネタバレ》 うん、これはいいですよ。四谷怪談の詳しいストーリーは知らないのですが、この映画ではけっこう端折っているようですね。それでちょっとわかりづらい部分もありましたが、あまり大きな傷ではありません。冒頭のクレジットが劇場を使っているように、映画というより歌舞伎の舞台の再現を狙っているところがあるようで、所作や台詞回しなどにもそういうことを感じました。天知茂が時々見得を切るところは格好いいです。色の使い方も濃くてあくどい印象を受けますが、これも舞台を意識してのことでしょうか。ともかく効果を上げています。花火の使い方とか巧いです。 しかしなんといっても圧巻は、最後のシーン! 子供を抱いて昇天するお岩さんは、鬼子母神を意識したのか、はたまたイエスをかき抱くマリアがイメージにあったのか? いずれにせよ、それまでの暗くおどろおどろしい調子を一変させる、実に澄んだ美しい場面でした。これだけでも見た甲斐があったというものです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-24 11:04:03) |
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5. 以前、どっかの映画評論家が「数ある『四谷怪談』の映画の中で最高傑作がこれ!」と言ってたのを覚えています。 主人公は、お岩ではなく、伊右衛門だということを忘れてはいけません。 伊右衛門に降りかかってくる数々の煩悩の誘い。私たちにも伊右衛門のような後ろめたい気持ちがあるからこそ感情移入できるのです。 低予算映画という感想がありましたが、脚本、セット、カメラワークなど、大量生産時代に作られた中では、かなり「力」入れて作ってあると思いますよ。 【クロエ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-08-23 14:24:59) |
4.四谷怪談を題材にした映画と言えば深作欣二監督の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」しか見たことがなく、ストーリーもあまりよく知らない状態だったので新鮮な気持ちで見ることが出来た。映画としては低予算なB級ホラー映画ではあるが、それでも歌舞伎のような音楽と演出がとても効果的に使われており、溝口健二監督の作品とためをはるぐらいの映像美にもあふれ、単なる怪談映画では収まりきらないような芸術的傑作になっていて正直驚いた。中川信夫監督の作品を見るのはこれが初めてだったのだが、これ一本でじゅうぶん巨匠のひとりだと感じた。出演している俳優陣も天知茂のニヒルな伊右衛門はハマリ役だし、名前は知らないがお岩役の女優もなかなか不気味で、とくに毒薬を飲んで顔が醜く変わった直後の演技はかなりインパクトがあり印象に残る。「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で荻野目慶子が演じたお梅は高笑いだけが印象に残るだけの存在だったが、本作では若き池内淳子で清楚なお嬢様という感じで良かった。何はともあれ、いかにも日本的な怪談映画でありながらそれ以上に日本的な美しさ、様式美を感じさせてくれる、そんな映画だった。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-08-14 15:25:27) (良:1票) |
3.いやあ、驚いた!「四谷怪談」ものって単なる不気味なホラーだとばかり思っていたけど、これだけ美しさを感じる「四谷怪談」が存在していたことにまずは驚かされました。天知茂のニヒルさが抜群の効果を上げているのと同時に若杉嘉津子の「お岩さん」の怪しげな雰囲気、どこか歌舞伎の世界を感じるこの映像美、単なる幽霊ものでないその雰囲気に溝口健二監督の「雨月物語」を初めて観た時のような感覚を覚えた。それにしても単なる幽霊ものの話でありながらも、やっぱりこの映画の持っている雰囲気は歌舞伎の世界に通じるものがある。上手く言えないけど、いかにも日本的な様式の美しさを感じるのです。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-01-07 23:45:04) (良:2票) |
2.四谷怪談と言えば、この東海道四谷怪談が一番好き。こういったジャンルの天知茂は旨いですね。 |
1.鶴屋南北の原作は”お岩さん”の幽霊で余りにも有名。当時”エロ・グロ”路線を突っ走っていた今は亡き「新東宝」がB級監督中川信夫に大して期待もせず監督させたのが本作。当然ゲテモノ映画かと思いきや、開き直って耽美的な色彩描写に走った中川を始めとするスタッフの情熱がプロデューサー(大蔵貢)の思惑を遥かに凌駕して傑作となった。殊に殺気漲る民谷伊右衛門を演じた天知茂のニヒルな演技は実に素晴らしい。正直ホラーとしては古臭く今となってはあんまり怖くもないが、日本の様式美を追究した画作りとストーリー・テリングには舌を巻いた。お見事! 【へちょちょ】さん 8点(2003-10-27 03:33:23) (良:2票) |