1.祝・デジタルリマスター版Blu-ray発売!
昭和初期の東京。
私立探偵:魚塚甚(佐野史郎)は「誘拐された娘“桔梗”(佳村萠)を探し出して欲しい」と依頼される。
依頼者は月島桜という女性。調査を始めた魚塚は“Mパテー商会”なる怪しげな一団に行き当たる。
さらに、事件と深く繋がる無声時代劇『永遠の謎』とは一体何か?
魚塚は謎の向こうに何を見るのか? そして桔梗は何処に・・・・・・
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初めて観たのは、三越劇場だったかな?ミニシアターでの上映でした。
不鮮明な白黒画面、無声映画に活弁という古風なスタイルを〝あえて〟とった、邦画には珍しいカルト作品と言えます。
その狙って作ったスタイルが見事に〝映画への愛〟を美しくピュアに描き切っていて素晴らしい。
原案・脚本・監督は、これがデビュー作の林海象。後の『帝都物語』の脚本や『探偵 濱マイク』シリーズなども素晴らしい仕事。
1986年製作なので30年以上前のインディーズ作品ですが、変則的な劇中劇は今で言う【メタ構造】で林監督の才能が感じられます。
あがた森魚の音楽も映像にぴたりと符合し、独特の世界観を構築しています。
今回、国内版Blu-rayと米国ARROW VIDEO版Blu-rayの両方を購入しましたので、好き過ぎで書けなかったレビューをやっと書きました。
ARROW VIDEO版で確認したデジタルリマスター映像の鮮明さは、DVDとは雲泥の差です。
ただ、劇中映画『永遠の謎』は元々あったグレイン(画面の粒子感)までパキッと鮮明になり、古い活動写真の表現として逆効果に感じました。まあ「見ようによっては」ですが。
総合的には素晴らしいリマスター。いや、劇場鑑賞の印象さえ遥かに越えて鮮烈で作品に惚れ直しました。
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映像特典(ARROW VIDEO版)
・本編オーディオコメンタリー1:林海象監督と主演佐野史郎さん(※DVDのコメンタリーと同じ音源を使用)
・本編オーディオコメンタリー2:日本映画専門家トム・メスとジャスパー・シャープ(※字幕なし)
・佐野史郎さんインタビュー「卵はいくつ?」(28分49秒)
・活弁士 澤登翠さんインタビュー(18分13秒)
・澤登翠さんによる劇中映画「永遠の謎」の活弁パフォーマンス(6分47秒)
・「夢見るように眠りたい」修復メイキング(4分01秒)
・サイレント時代劇のシーン(2分40秒)※京都おもちゃ博物館アーカイブより
・オリジナル劇場予告編(2分38秒)
・英語版予告編(2分38秒)
・静止画ギャラリー
映像特典(国内:ドリームキッド版)
・本編オーディオコメンタリー:林海象監督と主演佐野史郎さん
・予告編(2分39秒)
・英語版予告編(2分39秒)
・修復メイキング(4分17秒)
・林海象監督メッセージ(43秒)
・対談映像:林海象監督と主演佐野史郎さん(4分23秒)
舞台活動から映画へと脱皮する林監督の、気恥ずかしい程の“その時”がフィルムに焼き着いて、同じく“その時”の私に共鳴したのだと思います。