1.《ネタバレ》 テーマとなっているインドの人生観は深遠なもので、この優れた作品でさえ、我々に明らかに出来るのはそのほんの僅かな一部分であろうことは想像に難くない。あくまで本作は、その価値観の一端に触れることを可能にしてくれる、という作品だと理解すべきだ。
最初、それを西洋人たる登場人物を通して描く、という建付けにやや違和感を覚えたのだが、最後まで観ると、むしろ西洋人がそれに感化される様子を描くことで、その高い精神性を顕彰しようという試みである様にも思える(まあ、単に西洋人を使わずに映画自体が撮れる状況では無かった、というだけのことかも知れないが)。
ストーリーの軸となっているのは、どれもありふれた人の生き様である。恋と愛、生と死、出会いと別れ、そのどれもが大いなる繰り返し(=流れ)の一部分であることを理解し、逆らわずにその流れに身を委ねるべきだ、と本作は説いている。と言いつつも、説いているという程に明示的である訳ではなく、あくまでそのように生きるインドの人々(と、そういう風に生きるのもイイかもね、と思いつつある西洋人)が描かれている、ということである。奥ゆかしい映画だと思う。
メインのストーリーと交互に描き込まれるインドの情景・風習も、カラーの美しい映像を通して非常に興味深く眼に映る。単純に、インドを見てみたい!という興味で観るのも全然アリだと思う(70年前だけど)。