4.《ネタバレ》 なんでも増村・若尾コンビは全部で20本ああるそうですが、たぶん本作がその最高傑作というか極北に位置することは間違いないでしょう(全部観てるわけでもないのに偉そうですが)。だってほんと凄いんだもの、現役の映画作家ではその描写のエグさ・凄まじさはとうてい真似できないと思います。そりゃエグいスプラッターは日本でも撮られていますが、両腕を切断された兵士の性処理をナースがしてあげる描写なんて、当たり障りのない題材にしか手を出さないを製作委員会方式が幅を利かせている現状では絶対にありえません。まるで魚を捌くように手足を切り落としてゆく野戦病院、そして「俺は人命を救っているんじゃなくて〇〇〇を量産しているようなもんだ」と自嘲する軍医、ここら辺は『ジョニーは戦場に行った』に通じる不条理があって究極の反戦映画とも言えそうです。若尾文子もいい思いをさせてもらった男はみんな黄泉の国へ引っ張って行っちゃう、これじゃまるで“死の天使”ではございませんか。芦田伸介と二人で兵隊コスプレで始まるどう見たっての変態プレイはちょっと異様ですけど必見です。 増村作品の若尾文子はブレるところはあっても一途な女性というパターンが多いけど、それは本作の西さくらが完成形でしょう。ここは好みが分かれるところかもしれませんが、自分は川島雄三作品の若尾文子も捨てがたい魅力があると思ってます。