3.《ネタバレ》 パトリス・ルコントをも軽く超えた「男性用」純愛ファンタジーの傑作。娼婦として男に抱かれれば抱かれる程、女にとって肉体は意味を成さなくなり、心の中では徐々に愛だけが純化されていく。そして以前の自分は海の中に消え、新たな自分が誕生する。そんな女をじっと眺めるだけの男にとっては、もはや言葉すら意味を成さない。男の愛も肉体や言葉を超越する苦しみの中で、徐々に純化していく。そして男は文字通り一度死に、この世に再生する。生まれ変わった二人には、金もセックスも言葉も要らない。二人でただ一緒にいるだけ。純粋なる愛を獲得した二人は今後、何ものにも悩まされることはない。このラスト・シーンは余りにも切なく、しかし余りにも幸福。物語の辻褄なんかどーでも良い、8点献上。