1.《ネタバレ》 第二次大戦中のイギリスの片田舎を舞台にした映画。その点からすると、よくできていると思います。主人公一家の家庭の様子や、ご近所づきあいが巧みに描かれている。女中との会話など楽しいですが、戦時下だけに緊迫感もあり、メリハリのつけ方がうまい。脚本にジェイムズ・ヒルトンが参加しているのも、ポイント高し。ワイラーの演出は光と影をうまく使っていて、これもさすがのでき。
ただ、戦争中の映画なので、戦意高揚目的になっていて、最後も戦争の悲惨さを訴えるのではなく、徹底抗戦を主張している。これをどう評価するかですが、私としては大きなマイナスにはなりません。むしろ、こうした映画が作られ、それが高く評価されたということを記憶する意味からも、この映画には今も存在意義があるのではないかと思います。
これがテレビで放送されたり、ビデオソフトが簡単に手に入ったりするというのは、改めて平和というか、自由な時代なのだと思います。しかし、初公開当時の日本人は、どういう気持ちでこの映画を見たんでしょうね。