1.《ネタバレ》 ロバート・ルイス・スティーブンソンの余りに有名な原作小説、二度目の映画化。今回はロシア出身で元・舞台演出家のルーベン・マムーリアンが監督。何と言っても呼び物は本作の演技で見事オスカー主演男優賞に輝いたフレドリック・マーチ!!と言いたいところだが、生憎とさにあらず。まぁ確かにジキル博士時のイケメンっぷりと出っ歯なハイド氏との演じ分けは上手いんだけど。でも、正直言って「チャンプ」のウォーレス・ビアリーの方に受賞して欲しかった…!!しかし、映画的な手法の多岐にわたる実験・創意工夫が熱気として伝わってくるのが本作の強みでもある。その意味で功労者は19世紀の霧の街ロンドンを見事にスクリーン上に再現してみせた美術のハンス・ドライヤー、所謂「一人称カメラワーク」や「対角線スクリーン分割」など凝りに凝った撮影のカール・ストラス、の二人となる。ま、今となってはホラーとしては別に怖くも何ともないが、科学の誤用が招いた悲劇としての格調の高さがある分、下品なグロスプラッタよりはずっと高評価かな。