19. ワイオミングの雄大な自然を舞台に、父・母・息子・流れ者それぞれの繊細な思いを描く。人間の物語と大自然を融合した音楽は印象深い。 親子の情愛・夫婦愛を中心に据え、ジョーイのシェーンに対する思慕、マリアンのシェーンへの複雑な思い、それに気づくジョーの葛藤、牧場主と農耕民の軋轢、少年の精神的な成長等…さまざまな要素が詰まった叙情豊かな名作。 時代遅れになりつつある放牧と、畑作中心で定着する農耕という新旧二項対立の図式は、普遍的な問題意識の提示でもある。 一度は捨てた銃でトラブルを解決したシェーンだが、自身も農民の前では時代遅れであり居場所がないことを自覚し立ち去って行く。拳銃の音を意図的に大音量で表現し、その怖さ・暴力性を訴えている。 J・ウェインのような偉丈夫とは対照的な優男A・ラッドの起用は理にかなっており、作品の内容に相応しい。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-05-06 15:04:05) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 深手を負って、そこに居られなくなって。きっと引き返したいんだろう背中はかっこよくて。 きっと死んじゃうんだろう。だから戻ってきてシェーン。帰ってきてよ。 って何回観ても泣いちゃうでしょ。普通泣くでしょ?そうでもないらしい?えええ! と、中学生の時友達に熱くシェーンを語ったが、 「西部劇とか、お前つまんねーもんよく見てるよな」とか失礼なことを言われて落胆したのを思い出す。曰くオリンピック等の記録映画並に古くさくてつまらないというのだが、まて。そんなこと無いだろ。 だが、やっぱり今になっても西部劇が面白くてたまらないと言う人には余りお目にかかれない。非常に悲しい。そして、小学校高学年までジャッキーチェンとシェーンについて実話と区別できていなかったのは誰にも言えない秘密だ。 【黒猫クック】さん [地上波(吹替)] 8点(2013-07-27 22:05:42) (良:2票) |
17.《ネタバレ》 「シェーン! カムバーック!」 ラストのシーンが有名で、テレビでそこだけ吹き替えなしで放映したことがあったっけ。 久々に観直してみたら、バーでの乱闘シーンが長い。 店をめちゃくちゃにされるマスター、かわいそう…。 主人公はクールで強くてかっこいい、ヒーローらしいヒーロー。 ブルース・リーのカンフー、剣豪や早撃ちガンマンの決闘は、単純にシビレる。 童心に返ってワクワクできるのがいい。 ただ、この映画はそうしたカッコよさだけではない。 人間の葛藤がちゃんと描かれている。 父親よりシェーンに憧れ、無邪気に偶像化するジョーイ。 夫よりシェーンに惹かれる自分を必死で抑えるマリアン。 そのことに気づいて、心穏やかでないジョー。 大切なものを守るため、誇りをかけて敵地に乗り込む覚悟を固める。 そんなジョーを、最後は銃で殴ってまで止め、一人で決戦に向かうシェーン。 シェーンとマリアンの間には、互いに惹かれあいながらも握手しかない。 そうして戦いを終え、大好きな人たちを傷つけないようにと去っていく。 一度でも人を殺せば、抜け出そうとしても後には戻れない。 撃たれた傷を負って、シェーンはこの後どうなってしまうのか…。 そのせつなさが、ラストが名場面として語り継がれる所以だ。 撃たれていたシェーンが実は重傷で死亡説もあるが、そんな議論が皆でできるのも名画ならでは。 【飛鳥】さん [インターネット(字幕)] 8点(2012-12-18 21:58:01) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 日本の昔が侍だけの世界でなかったように、アメリカの西部開拓史というのは、ガンマンだけの世界ではない。むしろ、農地開拓の歴史が、アメリカを西へ押し広げたのだという。この映画は、最後に悪漢をカッコよく倒して、颯爽と去ってゆくガンマンをヒーローとして描いているように言われるが、実はその大半が、自ら耕す農民の正義と、新旧の世代の戦いを描いている。 シェーンは自分が銃で物事を解決する時代の側の人間であることを自覚して、それから抜け出そうと農民の社会に生きようとするが、結局は辺境の治安維持の不備によって、力を行使せざるを得ない状況に陥る。 彼がカッコイイのは、自らを傷つけながらも、新世代を無垢のままに守ったからだ。スターレットを直接守ったのはもちろんだが、その目の前で人を殺してしまったジョーイ少年を、銃の世界に引き込まぬようにか、一家の前から去るその潔さ! それにしてもライカー、インデアンから土地を守ったという、彼の言い分にも一理あると思ったが、やり方がダメすぎたな。 【追記】 何でもWikipediaによれば、ラストシーンに関して、シェーンの生死の議論があるそうで…。そう言われてみると、ラストのシェーン一人のカットは、モノクロかと思うほど色調も暗く、死を暗示させる。が、シェーンは馬を操っているし、何よりこれがシェーンの死を表現しているとしたら、わかりずら過ぎるし、悲しすぎる。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-05-24 01:43:29) |
15.《ネタバレ》 リバイバルで久しぶりに鑑賞。子供の頃にはよく分からなかったシェーンの魅力を堪能できた。この映画は、ただの撃ち合いでもつ西部劇のレベルを軽々と超えている。 まず、僕が子供の頃抱いた印象と違ったのは、シェーンは決してかっこいいばかりじゃないということだ。そもそもなぜ彼がここに流れ着いたか分かったものじゃない。その理由は決して褒められたものではなかったのだろう。彼の拳銃の腕も、彼がどちらかというと暴力的な生活を送ってきたことを明確に示している。ジョーの家に来てからは、「暴力も使いようだ」と殊勝なことを言うが、今まで彼がどのようにそれを使ってきたかを考えれば、内心忸怩たるものがあったのではないか。彼は、おそらく何かのきっかけで改心した悪党に過ぎないのである。 そして、彼と中年を迎えようとしているマリアンの気持ちの交錯も美しいだけじゃない。それはマリアンにおいては、ど田舎に閉じ込められた人妻の単にありふれた貞淑のよろめきであり、シェーンにとっても自慢できるアヴァンチュールでもなんでもない。厳しいことを言えば、盛りを過ぎた彼らの交情は、世間から見ればみっともない部類にすら区分できる。 そして、僕がこの映画を優れていると思うのは、まさにこういうしょうもない男と女の話がものの見事に傑作に仕立て上げられているからである。昼ドラにでも出てきそうなストーリーを、役者陣の丁寧な演技と余情漂う慎み深いシーンの積み重ねでとても上手に一つの美談に変えてしまった監督の手腕は恐ろしいほどだ。子役の活用方法も独創的だ。子役を中心に据えて、ストレートに涙を取りに来る映画が多い中で、この作品は子役を脇役として効果的に使っている。シェーンとマリアンとジョーの三者を料理の原材料とすれば、ジョーイはそれを調理する火に当たる。ジョーイの存在が、彼らの気持ちの触れ合いやすれ違いを分かりやすく炙り出しているのだ。 終盤は名シーンの嵐で、ウィルソンやライカー兄弟との撃ち合いのシーンはもちろん素晴らしいが、その前段のシェーンとジョーの殴り合いでシェーンが最後に拳銃の台尻でジョーを殴り倒すシーンに感動した。スターレット一家に対するシェーンなりの仁義の切り方にただ涙するのみだった。そして、あまりにも有名なラストシーン。涙が止まらなかった。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-11-15 23:42:08) |
14.《ネタバレ》 例えば、冒頭のシェーンがスターレットの家へやって来て、さらにライカーたちがやって来る場面の緊張感の無さなどを見てみても、とても退屈に思えるのですが…、それでも本作を気に入っているのは、アラン・ラッドの男っぷりとジャック・バランスのニヒルさもさることながら何より肉体的な映画であるからです。 シェーンとスターレットは巨大な切り株を馬を使わず協力し合って取り除き、一緒に酒場で乱闘を繰り広げ、最後には過剰に素手で殴り合う(銃で殴れば少年に「嫌いだ」と言われる)。ライカー側の手下がシェーンに罠であると知らせに来るのも、シェーンと彼が素手で殴り合いをしたからに違いなく、ここにおいては肉体を駆使することがコミュニケーションであるかのようです。ラストで少年が自宅から酒場までの長距離を走ってやって来るのも、シェーンとの仲直りに必要な肉体的労働であったとすら思えるのです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-08-12 18:48:45) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 「なるほどね~アメリカ版水戸黄門かぁ」と思ったら・・・男のハートを震わす凄まじい後半。昨今の世界のあらゆるコンテンツにオマージュされた、ハードボイルドに生きる上でのベーシックになっている。10点満点中、前半4点、後半6点、スターレットとの殴り合いから10点、ラスト5分100点。 【460】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-05-03 02:35:04) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 西部劇はあまり観ないのですが、これは良かったです。昔大好きだった「大草原の小さな家」の雰囲気と一緒なのが要因の一つかと。そして、少ないながらも効果的なアクションシーン。ウィルソンとの対決シーンは、一瞬ですけど、息の詰まるような間があります。その間にウィルソンとシェーンに素早く切り替わり、あたかも自分がそこにいるかのような錯覚に陥らせるその演出が見事でした。 基本的にはリアリズムに徹した作品ですが、あの奥さんの服装はどうなの?もちょっとみすぼらしくてもいいんじゃない?パーティーやってるわけじゃないんだから。そこが唯一の不満点です。 【osaosa】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-02-11 09:43:33) |
11.《ネタバレ》 水と緑が綺麗なロッキー山脈のふもとが舞台の珍しい西部劇です。中身も監督がジョージ・スティーブンスだけあって、ホームドラマ重視に仕上がっています。ていうか、これはアメリカ版股旅物だ、任侠物ですね。それに子供の視点から見ていて分かりやすく出来ています。ケンカのオーバーアクションや、やたら大きい効果音も、ジョーイ少年の視点。俳優は父親のヴァン・ヘフリンからライカー役のエミール・メイヤー、コーヒーを飲む殺し屋ジャック・パランス、そして2匹の犬に至るまで名優ぞろい。そして、本名を名乗らない主役のシェーンの存在が大きかったです。 ところで、小さい男の子が成長過程でヒーロー像を求めるのは自然のことなんですが、ジョーイ少年のシェーンへの期待は凄かったです。瞬きもせずにシェーンを見詰め続け、「シェーンは強いよね。」「痛みなんてへっちゃらだよね。」「臆病じゃないよね。」「逃げたりしないよね。」「勝つと思っていたよ。」と、雨嵐のように期待をぶつけます。彼は唐突に知らない子供に、不死身で無敵の特撮ヒーロー像を求められてしまいました。時代が変わったことを受け入れ、殻を破ろうとして果たせなかったシェーンは、せめてジョーイの期待に応えようと努力したのでしょう。かくして、彼は2階から撃たれたときに怪我したと思われるのに、たいしたことないとやせ我慢をし、「正直で強い男になれよ。」と、少年を励まして去るのでした。しかも最後までジョーイ少年は「本気だったら撃たれなかったよね。」「あいつ、抜く暇もなかったよね。」と、懸命に自分のヒーロー像をキープしようとしていたのでした。・・・気の毒に・・・私にはある意味、ライカーや殺し屋ウィルソンよりもジョーイ少年の方が怖かったですよ。あの後、シェーンが無事に別の町に行けたことを祈ります。 【くなくな】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-14 22:01:35) |
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10.《ネタバレ》 あの後シェーンは死んだのか生きてるのか永遠の謎です。 【sting★IGGY】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-12 09:36:42) |
9.ラストのシェーンの後ろ姿が良かった。「人殺しの烙印は一生消えない」と彼は言うけどやっぱりかっこいいぞ シェーーーーーン!! 【ゆうろう】さん 8点(2004-02-19 23:59:23) |
8.「人は簡単に変われない。型を破れないんだ。努力はしたがね」と言って去ってゆくシェーン。まさに「男はつらいよ」の世界。 山田洋次が監督したシェーン(高倉健バージョン)その名も「遙かなる山の呼び声」も是非ご覧を。 |
7.子供の頃から幾度となく観ました..私の中では、いつまでも No.1 西部劇です!! シェーンの生き様、カッコ良さ、スターレット一家との絆..とてもよく描けていて大好きです..なんと言ってもリアルな早撃ちシーン! 男なら誰でも憧れます!!! 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 8点(2003-12-25 20:42:46) |
6.すごみのあるジャック・パランスと、アラン・ラッドの決闘シーン、何度観てもハラハラドキドキですね。ガンベルトから抜くシーンを何度もまねて、シェーンに挑戦したけれど、0.2秒の早業にはかないません(笑)。ジーン・アーサーとの微妙な恋愛感情もはかないですね。有名なラストの叫び声とエンディングの音楽は耳から離れません。 【オオカミ】さん 8点(2003-11-19 22:45:44) |
5.西部開拓時代の考証がきちんとしてるのが良かった。まあ強いて言えばジーンアーサーのハリウッド的綺麗さが浮いてしまうが。アランラッドが入魂の演技力を感じさせる(他の作品はぱっとしないけれど)。なんと言ってもジャックパランスの殺し屋がいいですねー。この映画の後,似たタイプがどれだけ出てきたことか,,,。カンフーアクション前の時代だから格闘シーンが腕だけ(足蹴り無し)というのが,今見るとちょっと笑えて楽しい。 【ユーフラテス】さん 8点(2003-06-10 01:11:19) |
4.僕が言いたかった事は大体Russianblueさんが言ってくださってますね。それに、否定的な意見の人の気持ちも分からないでもない気がします。確かにガンアクションはちょびっとだし子役もそんなにかわいいとは思えなかったけど、最近の派手派手な映画を見慣れてたせいか、僕にはこういう抑えた感じはなかなか新鮮でした。なんか昔の世界名作劇場(「ペリーヌ物語」とか「赤毛のアン」みたいな。)を思い出すような、いわゆる「古き良きアメリカ」ですね。あの奥さんはシェーンにかすかに想いを寄せてるみたいだったんで、てっきりお父さん死んじゃうのかなあ、と思ったけど(今の映画だとそうする気がする)予想を裏切られて良かった良かった。ラストシーンはとても有名ですが、それでもぐっときました。あとこれは映画そのものとは関係ないんですが、字幕で“Indian”を「先住民」にしてるのはちょっとひっかかった(この映画以外でもありますが)。今現在「アメリカ先住民」という言葉を使うのはもっともだけど、過去の作品はちゃんとインディアンって書いたほうがいいと思う。しょうがないじゃん、その頃は当たり前にそういう言葉使ってたんだし、言葉を言い換えたって差別してた過去は消えないぞ。 【ぐるぐる】さん 8点(2003-04-26 14:52:26) |
3.あのあまりにも有名なラストシーンは、あまりにも有名すぎるため、「感動シーン、感動シーン」といわれてはいますが絶対に感動できないだろうと思っていました。でも、泣いてしまいました。やられました。びっくりしました。 【ごはんですよ】さん 8点(2002-09-23 21:26:41) |
2.(↓)【なんとこ】さんじゃありませんが、アクション映画として観なかった所為でしょうか、まあ良い映画だと思いました。でも、確かにあらすじは凡そ予想通りでしたが・・・・・ 【イマジン】さん 8点(2002-03-29 23:09:11) |
1.残念なコメントが多いナア。緻密な構成だと思うのです。銃の支配がレトロになった観を持つ西部開発後期、というか近代初期の時代設定。水場の争いに端を発する新旧開拓者のそれぞれの言い分も結構考えさせられたし。ちゃんと双方の、まともに聞ける道理を述べさせている。悪役の方は老齢で仕方なく殺し屋を雇う。新旧の世代対立も有るが、この敵役の老人の採る行為もこれまたしょうのない選択だったのではないかと思います。一方シェーンの世話をした側は壮年だが無骨者と女子供で、結局「木枯らし紋次郎」的に仕方なくガンファイトをシェーンに任せざるを得ない。無敵のスーパーマンとして憧れていたシェーンもまた、「西部一の早撃ち」スタークを斃しながら、自らも被弾する。無敵な筈の彼の信じられない事実に少年は、もはや馬上のシェーンを見上げられぬ...。しかし、少年の動揺を知りつつ、男は強く女は優しく育てよ、人の面倒をよく見る男になれよ、両親を護れよ、と諭すシェーンが、その言葉のみならずこれまでの行為に拠って少年の心に深く刻み込まれる...。少年はこの瞬間、成長する。この映画の素晴らしい点は、子供のマナザシからシェーンを描いたことにあるのではないでしょうか。逆に、もはや私達の周囲にはこうした穏やかさの趣を持たせたアクションは...無いのではないでしょうかネ? |