1.《ネタバレ》 出雲かどこかにいる縁結びの神様が未婚の男女の小指についている赤い糸を男女一組づつ結ぶ作業に一区切りついて、赤い糸が三本余っているのに気付き、「ええい、面倒だ・・・。」と三つをくくってしまったので三角関係が出来上がりました・・・というのは日本の落語ですが、この落語のラテンアメリカ版です。清純なというよりもダサい少女のフェルミーナが医者の奥さんになって洗練されていくさまは女性には必見。そしてそれを見守るフロレンティーノの「この人こそがわたしの終生の伴侶・・・。」というすさまじい思い込み・・・。わたしたちの人生は縁結びの神様やソウルメートの存在など、決して説明のつかないことで決まっていくことも多いのですが、50年待って頭のはげた爺さんになりながら、相手の旦那が事故死した直後に「待ってました。」とばかりに押しかけていって求婚する執念はとにかくすごい。違和感を覚える人もいるかもしれない70代の爺さん、婆さんのベッドシーンも、お互いを自分のソウルメートだと信じているカップルは皺が刻まれた相手の顔に永遠の若さを見るのかもしれないということで、「自分もこうなりないな・・・。」なんて少し感じました。でも・・・でも・・・フェルミーナを貴婦人に磨き上げて事故で亡くなったご主人も立派でセクシーだったんですよ・・・。やはりこれは縁結びの喜悲劇です。全体に流れるラテンアメリカの雰囲気やBGMがとても気に入りました。一番のりの方と並んでまたまた女性によるコメントで恐縮です。男性の感想も是非聞きたいですが、原作者ガルシア=マルケスは男性で恋人との結婚を親に執拗に妨害された苦い経験(といってもほんの数年間)に基づいた自伝的(?)作品だそうです。