1.《ネタバレ》 やはりエットーレ・スコラ監督はちょっとほろ苦く切ないコメディの達人ですね。同監督作品「あんなに愛しあったのに」でもおなじみの映画の登場人物に物語の進行を委ねるような語り口が楽しいです。数々の素晴らしい映画監督とコンビを組んできたマストロヤンニですが、僕はスコラ監督作品のマストロヤンニが最も好きです。本作でもそうですが、決して悪い人間ではないけれど不器用でどこか哀愁漂うも可笑しい。こんな男を演じると絶品の素晴らしい演技を見せてくれますね。一人の女に二人の男、この三角関係の物語は悲しい結末となりますが、自由奔放に生きる女性を魅力たっぷりに演じたモニカ・ヴィッティ、マストロヤンニの恋敵を演じたジャンカルロ・ジャンニーニ、アルマンド・トロヴァヨーリの耳に心地いい音楽も印象に残るスコラ監督の職人技が冴える佳作です。