1.《ネタバレ》 ストーリーを原作ではなくてチャールズ・ラムが書き直したバージョンで読んでいる人でないとわかりづらいかもしれません。四人の恋人たちが夜の沼地で泥試合をし、翌朝目が覚めたら全員真っ裸で妖精が洗ってアイロンまでかけた服がたたんで横に置いてあるシーンがいかにも現代的で良かったです。ミシェル・ファイファーは以前アカデミー作品賞を受賞した「羊たちの沈黙」の主演獲得でジョディー・フォスターと競ったそうですが、ファイファーはラブ・コメディーに特化させたほうがいいという配慮でフォスターが選ばれたとのこと。この作品での妖精の女王は正に当たり役です。ヘレナ役がコミカルでよかったし最後は結婚式(ここでは専制的な大公とその婚約者を含めた三組のカップルによる観劇と妖精の王と女王の和解)というコメディーの伝統的パターンを守っているのもちょっと冗長だったけれど良かったです。妖精パックは本の挿絵ではいたずらっぽい少年になっていたのですが、ここでは老練な下僕という感じで、パックのセリフに良く耳をすませれば少年には発言できないような人生に対する洞察などが聞こえるのかもしれません。 (閑話休題)英語圏の高校生向けに古典を解説しているサイト(http://www.cliffsnotes.com/WileyCDA/LitNote/id-78,pageNum-56.html)はこの作品をけちょんけちょんにけなしていました。この作品中の妖精たちは宴会気違いでしかないし、ミシェル・プファイファーにシェークスピアを理解してその役柄の雰囲気を演じる実力があるとは思えない。原作では尊大な君主として描かれている大公はただのくたびれたおっさんになっている、パックが中年のおっさんなのも変だ、等々・・・。私は結構楽しんだんですが、シェークスピアの戯曲がいろんな空想を喚起するせいか、演出によっては「こんなのあるかよ!」という人もぞろぞろ出てくるようです。キャストを変えてまた、映画化してほしいです。