9.《ネタバレ》 某ローカルTV局の元日に当作品、そして翌日に続編…と二夜連続で放送されたので、録画して鑑賞。
原作漫画(1992~1993年連載)は、タイムリーに読んでいました。ただし「ドラゴンボール」「幽遊白書」「ジョジョの奇妙な冒険」といった少年ジャンプの看板漫画の“ついで”ではありましたが…。当時の私の率直な感想は「たぶん“女子”には理解してもらえないだろうけど、これぞ少年ギャグ漫画だ!」と、小学生の“男子”に戻った気持ちで楽しんだものです。
映画化の話を耳にしたときは「20年ぶりの復活か~」と感無量ではあったものの、題材が題材だけに気恥ずかしくて劇場には足を運ばず…しかし大成功をおさめて続編も製作!…にもかかわらず、やはり観ずじまいでした…。
そんな不誠実な読者だったわけですが、今回のTV放送を観て感激しました!。以下、他のレビュアーさん達の肯定的なご意見と異口同音かもしれませんが、長々と述べさせていただきます。
まず私が感心したのは、漫画から抜け出たかのような変態仮面のフォルムは勿論ですが…ギャグ漫画が原作だからといって、けっしてドタバタな演出で終始しなかったことです。
確かに、脇役陣(主人公の両親、大金玉男 及び 第四までの刺客-真面目・爽やか・モーホー・細マッチョ仮面)については、ストレートにコミカルな演出がなされています。
一方、主軸であるストーリーラインは【平凡な主人公の紹介 → ヒーロー誕生 → 巷での活躍と共に深まる主人公の苦悩 → 強敵出現と初めての敗北 → 再起とクライマックス】というように、まさにヒーローものの王道。しかも学園ものとしての純情ラブストーリーも加味してあり…それらを、主役二人(鈴木亮平さんと清水富美加さん)が、真面目に演じています。瀬川英史さんによる音楽も、この二人の場面では、原則、真面目な曲調で、ときとして「シリアスすぎでは?」と感じるほど。そして真面目に演じれば演じるほど、シチュエーションや台詞とのギャップから、観る者の笑いを誘う…これは福田監督の演出上の戦略かな…と思いましたし、私は好感を持ちました。
さらに、私が個人的に熱くなったのは、映画の後半に差しかかる【偽変態仮面との最初の対決から敗北に至る場面】です。これらは寒空のもとでロケ撮影されたことがわかります。随分前のことですが、私は某TVドラマのロケ現場に偶然、出くわしたことがあり「10数秒程度のワンカットを撮るだけでも、準備や打合せ等で、相当の時間がかかるんだな…」と知りました。そのため「路上での対決では強い風が吹いているし、その後のビルの屋上の場面は夜間。待機中は防寒に配慮したとは思うけど、撮影本番は、どんどん体温が奪われ、さぞかし寒かったろう…アスファルトや屋上の床に横たわるのは、さぞかし冷たかったろう…」と、観ている間、過酷な撮影現場を想像してゾクゾクしました。特に、偽変態仮面を演じる安田顕さんが、変態哲学を語り「そんな屈辱にエクスタシー!」と絶叫する鬼気迫る姿は、【寒さに耐える】を突き抜けたからこその境地から生み出されたのでは!…と感じました。もちろん、私が寒い季節に観たことも影響していたとは思いますが、おかげさまで、中だるみせずにラストまで集中して鑑賞できました。
さて、採点ですが…上記のように安田顕さんについては言うに及ばず、見事なボディーを作り上げた鈴木亮平さん、そして福田監督をはじめとするスタッフの皆さんが、真剣に情熱を込めて創りあげたことが伝わってきて、新年早々、元気になれました!。当レビューに投稿するにあたり、DVDをレンタルしてノーカット版も観ましたが、感想は変わりません!率直には10点にしたいところですが…万人受けは難しいでしょうから、当サイトの採点基準である【見た後、率直に面白かったぁ…って言える作品】として8点を献上します。
ところで、今や鈴木亮平さんは【西郷どん:2018年】で、一躍、大河ドラマ俳優になってしまいましたが…できれば、当作品を黒歴史化せずに、今後も代表作の一つとして誇ってほしいものです。また、男の子向けの作品ではありますが、某TV局のバラエティー番組【ダマされた大賞】の“変態おじさん”を楽しめる(というより、笑って許してくれる?)女性の方々なら、観ていただけるかも…と思ったりしています。