4.《ネタバレ》 『ゾンビ』から『人間』に戻る話だとは全く知らず、終始興味津々で見ていました。
『ゾンビの目からみたゾンビの日常とゾンビ社会』『ゾンビとの共同生活』『脳を食べるとその人の人生を追体験』どれをとっても、面白いアイデアばかり。
舞台も良い。『荒廃した都市や空港』と、『生き残った人たちが生活する街』の対比がとても良い。
飛行機内で共同生活ってのも、秘密基地みたいで良い。そんで『いつ他のゾンビが機内に入ってきやしないかとハラハラする』、このちょいハラハラ感がクセになります。
前半のほうではゾンビ映画の世界を堪能できるのがポイント高い。もちろん、コアなゾンビファンを満足させる内容とは言えませんが、私みたいな『ゾンビっぽければなんでもOK』みたいな人種は十分満足できるわけです。
Rとその友人ゾンビ。この2人?が最初からゾンビよりちょっと人間寄りすぎない?ってのはちょっとマイナス。
それでもRが少しずつ人間へと近づいていく描写はとても丁寧で、流血するシーンには感動すら覚えます。言葉が少しずつ流暢になっていくなど、ディテールにこだわったプロセスの描き方は素晴らしいんじゃないでしょうか。
ただ、あえて水を差すなら、R以外のゾンビ達の人間化。さすがにこれは無理があったのではないかと思います。『Rとジュリーの手つなぎ』『看板の手つなぎ』、手をつないでいるところを見ただけで人間に戻れるんだったら、とっくにそうなっていただろうと思えてしまう。
とはいえ、子供ゾンビが人間の子供たちと遊ぶシーン、友人ゾンビが人間の女性から傘を開いてもらうシーンなど、ゾンビ映画とは思えない素敵なシーンが用意されているラストで、そんなささいなことは許せてしまう。
これだけでも希望がもてるのに、壁が壊される爽快な結末のおまけつき。良作です。