1.《ネタバレ》 結婚してから14年が経ち、以前のようにお互いを愛せなくなった夫婦のお話。夫のローランドをブラッド・ピットが、妻のヴァネッサはアンジェリーナ・ジョリーが演じる。
奇しくも本作が日本で封切りされるほんの数日前に、ブラピとアンジーの離婚騒動が話題になった。この騒動を知った後に本作を観ると、猛烈な生々しさが増し、結果的によりインパクトの強い映画として記憶に残るであろう。
この映画の特徴として、同じようなシーンが繰り返し出てくるということが挙げられる。
ホテルの部屋のバルコニーで日光を浴びるヴァネッサ。
カフェに入り浸って酒を飲み続けるローランド。
ほぼ一日中部屋に独りで過ごすヴァネッサに、朝早くにホテルを出て夜遅くに帰ってくるローランド、そして、二人の冷め切った愛のない会話。
これがゆっくりとしたペースで繰り返されるので、映画全体が気だるげで退屈な雰囲気を醸し出している。
これこそが“結婚”なのだろうか。僕は未婚な上に恋愛経験もほぼ皆無なのでよくは分からないのだが、誰かと人生を共に過ごすことを永遠に続けるのは無理難題なことのような気がする。
お互いを知り尽くした後にはお互いへの興味が失せ、“日常”がはっきりとした形になり、ルーティンのような毎日を過ごすことになってしまう。そんなイメージ。
結婚生活。それは格闘技なのかもしれない。ローランドもヴァネッサも、お互いのことを魅力的だとは思わなくなっているようだが、それでもお互いを、愛を、取り戻そうと闘い続けているように見えた。夫婦であり続けることを諦めているようには見えなかった。
魚を全く捕まえられないにも関わらず、毎朝、沖に出ては港に戻ってくる漁師のように、得るものが何もなくても毎日続けなければいけないこと。それが結婚生活・・・なのかな?
本作の映像はとてつもなく美しかった。ロケ地そのものが魅力的だし、撮影班が優秀なのだろうけど、アンジーの監督としての技量は確かなものなのだろう。これからしばらくは私生活が大変なことになりそうだが、彼女の今後のキャリアに期待せずにはいられない。