2.《ネタバレ》 チャラい感じの恋愛映画と思って敬遠していたが、とてもよい映画だった。 とにかく、函館という街がいい。坂道、人けのない漁港、海の向こう側に見える寂れた工場群、、実に映画映えする風景だ。 登場人物たちもいい。特に近年のオダギリジョーは、本当にいい演技をみせてくれる。軽口の叩き方とか、すごく好きだ。蒼井優はちょっとオーバーだったけど、静かな映画のいいアクセントになっていたように思う。あの鳥の求愛ダンス、うちに秘めた弱さと寂しさを隠すための "虚勢" のようにも見えたが? どうでもいいような若者たちとの合コンの場面に、いい台詞があった。 「20代のうちにたくさん笑ってろ。40代にもなればもう笑えなくなるから」 白岩のこの台詞、心にガツーンときた。もちろん、俺も今まさに彼と同じ年代ということもある。確かに、最近は笑うことも少なくなった。でも、ただそれだけじゃない。この映画のメッセージは、フェンスの中とか外とか、そんなことは関係ない、ということがわかったからだ。 これは職業訓練校という極めて閉鎖的な舞台であり、正しい人生を一歩だけ外れた者たちの物語、と思って少しだけ上から目線で観ていた。 ・・全然、違った。これはぼんやりと目的もなく生きている人全てに対するお説教であり、その背中を押してくれる応援歌だ。 大きな成功ではなくて、自分にとっての起死回生のでっかいホームラン、何とか打ってみたい、、そんな気にさせてくれる映画だった。