2.《ネタバレ》 なるほど、ジャンル分けするならSFかホラーか、という作品に感じられるのは確かですが、描こうとしているSF的概念にせよそれがもたらす一種の恐怖にせよ、かなり抽象的で曖昧なモノなのですよね。その意味では、邦題がちょっとイケてないかも知れませんね。原作小説の邦題が『全滅領域』で原題が(+映画の原題も)『Annihilation』なので、映画の邦題も無難と言えば無難なのですが、繋げちゃうとなんか…もうチョイ物質的で多少チープめなSFにも見えますよね。
ただ、そーいう作品としては中々細部まで好く出来てたのではないでしょーかね。肝心なトコロが抽象的、とは言ったものの、映画の入りは結構フツーのSFに見えなくもなくて、ただそこから続いてゆくひたすら緩慢なテンポや、起承転結がイマイチ感じられないただただ不穏な展開運びが次第次第にどこか寒々しくて血の通った感じのしない異様な空気をつくり上げてゆき、ラスト、灯台付近で映像的にも異世界感を一気に炸裂させてどこか違う次元へと連れ去られる様な、とゆーのが実に爽快だったですよ。そのラスト付近の映像表現もかなりユニークで「美しい」モノだったりで、その面でのお得感もかなり高度でしたし。
確かにオーラスの「瞳」の描写はちょっとよく分かりませんでしたが(個人的には蛇足に見えます)、総合的にはかなり楽しんで観ることができました。ナタリー・ポートマンの品格も(ある種ちょっと「お高く留まった」本作には)非常に効果的だったと思いますね。