1.《ネタバレ》 ツイッターで話題になる映画ってアタシ的にはそーんなにそこまでは・・・な場合が多い(『シン・ゴジラ』とか『怒りのデスロード』とか『すみっこぐらし』とか『バーフバリ』とか)ので、この映画もあまり期待はしない、話半分くらいなカンジで臨んだわ。
人間まんまなアンドロイドよりもメカメカしいロボ子の方が好みよ、とか思ってたけどそもそもそういう映画じゃないのね。
基本はお馴染み『E.T.』フォーマット。タイトルのアイ=AI=愛な映画。出だしはアンドロイドがいかに人間の中に自然に紛れ込む事ができるか、というお話。とっととバレてしまって(というよりもサトミのママのガバガバなコンプライアンス意識のせいで事前にバレてる)、だけどみんなでバレていないように装うのが前半のポイント。ドタバタしたり青春してたり、ありがちだけど楽しくて面白くて、それでいて感動的な展開ね。
そして突然映画のカラーが変わって(その一瞬、マジで客席から悲鳴が上がったわ)、サスペンスとシオンの真実の物語に。心を持ったデジタル生命体の話が好物なアタシなので、シオンのココロが響きまくっちゃって、それはその前の青春物語がどうでもいいくらいに。アタシは最初からシオンばかり見ていて、シオンにばかり気持ちが向いていたわ。この映画はシオンを通して人の心、思いを描いた映画で、シオンにはサトミの心が映っていたのだから、サトミこそがこの映画の主役なのだけども。
サトミ=シオンの心はディズニープリンセス的な世界を背景にしていて、それをシニカルではなくて真正面から肯定的に描いているのもディズニーヲタな私としては良かったわ。
ただ、全肯定!とはいかない点が幾つか。
サトミのママは毒親でまかり間違うとマッドサイエンティスト状態なのよね。高校生の娘を放置気味で家事や家計の管理を投げてる上、自分の研究のためには娘にも容赦ない態度を取ったりもして。サトミはああいう人格を恐怖には感じてなかったのかしらねぇ?
あと、『魔女の宅急便』の昔からアニメ映画に漂う強迫観念的クライマックス増量(水増し)感。シオン救出作戦はいいとして、屋上到達~会長の到着~ヘリ回避の逃走~連絡通路での混乱劇あたりは間延び感がしたわ。それ以前も含めて会長の存在をハンパに秘匿しておく必要があったのかどうかも疑問ね。
一度下げまくってからの逆転劇という構造だけれども最終的にシオンの行く末も上がりきらなかったように思えて。衛星に逃がすのは見えていて、でもハッキリするまでの間、曖昧にボカした、みんなに曖昧な反応をさせてたのがラストシーンのためのタメだったのだとしたら、あまり上手く行ってないんじゃないかしらねぇ?
全体的には感動的な良くできたアニメ映画よ。アニメ映画(あくまでアニメ=国産ね、ディズニーとかはアニメーション映画)という括りでは年に2~3本あるかしら?くらいには。結構う~むむむ・・・ってなってしまった、今年公開された海外の類似作品『フリー・ガイ』『ロン 僕のポンコツ・ボット』よりはずっとストレートに響いたし。土屋大鳳サマはアテレコも歌も見事だし幾つかの大感動ポイントもあるし。だけどやっぱりツイッターでの評判を信じて大期待して見る、というのはちょっと違うかしらねぇ。逆に冒頭に挙げた映画群をどれも最高と思う人なら大期待して見てもいいのかな。