1.《ネタバレ》 続篇ですが、藤純子さんの役柄は(中身はともかく)前作とは別人で太田まさ子、人呼んで「上州小政(女小政)」たァ、中々に威勢の好い通り名で御座いますな(元祖は若くして死んでるんだから、縁起でもねェとも言えるケド)。
しかしコレ、前作よりも格段に出来がイイですわ。基本的な内容は(また)だいたい同じなのだけどドコが違うかと言って、ひとつはやっぱし「渡世人」をチャンと描いてる、というコトに思えます。ただただ善玉な任侠が悪いヤクザを退治する…だけだと、ハッキリ言って『水戸黄門』の類になっちゃいます。が、本作では渡世人の仁義の価値観や心意気、或いはそれ故の因果な身の上なんかがしっかりと描き込まれ、それが任侠ものの面でも人情ものの面でも両面からお話に深みをもたらしています。あと単純に前作よりも全体のテンポが整ってた、とも思いましたかね(緩急自在…といった感じ)。役者もこれまた前作より多彩で、かつそれぞれ上質な役割の果し様でした。島田正吾のとっつぁん・三益愛子のおっかさん、今作のコメディリリーフは爽やかお調子者・南利明、待田京介は一見はいっぱしの任侠風ながら実はアコギな敵役で、かつどーも女に弱いらしい、と。あくどい親分役だって(あの)金子信雄に加えて前作から引き続きの遠藤辰雄とで二枚揃えと、コレも中々にゴージャスです。
しかし、何と言っても今作は(これまた)菅原文太でしょ。登場シーンはさほど多くなく、かつどれも静かなお芝居(修羅場は別にして)。でも、だからこそ伝わる熱い想い…とでも言いますか、今作は実は優れた恋愛映画でもあったのだ!とすら思いますな(最早)。『緋牡丹博徒』シリーズ屈指の名シーン・雪の今戸橋に倣ったか、今作でもまずは2人のそのシーンでは雨が降っている(ひとつ傘の中でしっぽり濡れる2人の艶やかさ・切なさ…と来た日にゃア!)。そしてオーラスのカチコミ前に菅原文太は言います「姐さん、アタシも一緒に、死なせてください」ああ、あはれ日本人てのは「愛と云うは死ぬ事と見付けたり」てなモンなのでしょーかね(「君のためなら死ねる」だのナンだの)。