1.《ネタバレ》 もう少しシンプルなソリッド・シチュエーション・スリラーを想像していたのですが、同監督の『ノースマン』を観、また『ウィッチ』も観直した上で鑑賞すると尚更に、必ずしも全くそーいう単純なヤツではないごく文芸的でやや高尚な類いの作品にも思えますね。前半はソレでもまだ分かり易いスリルと不穏さを感じつつシンプルに観てゆけるのですが、後半は諸々と因果がイマイチ繋がらなくなってゆき、そしてオーラスも肝心なトコロは明かされないまま実に不可解に終わってゆきます。所ドコロはかなり比喩的でもありますし、重ねて文芸的で(台詞の芝居掛った感じも相まって)部分的にはコメディにすら思えます。ただコレも重ねて、ラストの不可解さ・煮え切らない感じの心地の悪さは実に上質で上品なホラー的快感でもあったなァ…と(ソレこそ本作の原作者たるポー作の古典怪奇小説の読後感にも近いモノで)。今作を観ての感想が「上品な」とゆーのは、その描写の汚らしさ+悍ましさ・凄惨さからすればだいぶ誤解を生む表現…かとも思いますが、個人的にはこの上無くというレベルで引き込まれて面白く観れましたですね。傑作かと。
そのクオリティは当然、かなり凝り様とマニアック度の高い脚本や、映像+ロケーションの質・完成度のシンプルな高水準さにも依るモノだとは思いますが、ソレよりナニより言及しておきたいのは主演2人の俳優の出来の好さですよね。その意味ではまずロバート・パティンソンにもモ~100点を付けちゃいたいのですケド、そーするとウィレム・デフォーには120点を付けなければならない…という感じでデフォーの仕事ぶりはモ~凄まじかったです(こんな「怪奇な」人間性とゆーのは、その実際の描き出しの質を含めても滅多に観れるモンではなかろう…と)。彼の一世一代の仕事を観る為ダケにでも、確実にカネを払う価値が在る…という作品だと思いますね。