2.《ネタバレ》 物語の構成は前作とほぼ変わりません。【起】掴みはアクション【承】ゆるゆる日常生活【転】敵との抗争【結】ド派手な格闘で決着。何なら決め技まで同じ。『男はつらいよ』と見紛う定型文です。でもよく考えてみれば『ミッション:インポッシブル』だって似たようなもの。ここは洗練されたフォーマットと捉えましょう。
一般的に続編は「パワーアップ」を旨とします。本作も例外ではなく、コメディと青春ドラマが強化されました。しかし反面、敵のグレードはダウン。これは「駆け出し殺し屋兄弟」をメインゲストに迎えた影響ですが、一部要素とはいえ弱体化したのは意外でした。もっとも敵の戦闘力ばかり追求し出すとインフレを起こし、いずれ行き詰まります。敵の「強さ」ではなく「タイプ」に着目した判断は賢明だったと考えます。事実アクションは見応え十分でした。動き続ける銃撃戦や格闘ムーブは、リアリティを放棄したからこそ辿り着いた境地。胸が躍りました。エンタメ至上主義の“魅せる”アクションが『ベイビーわるきゅーれ』の生命線であります。
強化ポイント、コメディと青春ドラマについても触れておきましょう。まずコメディから。もともとナチュラル脱力系の笑いでしたが、本作では主役2人の役割(ボケとぼんやり)が明確になり積極的に笑いを取りに行く姿勢が示されました。手薄であったサブキャラにも新顔を入れシリーズ映画としての体裁を整えた感があります。コメディセンスが万人ウケするとは思えませんが、個人的には渡辺哲に『ビジュ爆発』と言わせただけで優勝でした。青春ドラマについては、まひろの台詞『私に賭けろ。杉本ちさと』に痺れましたが、大部分は「ビギナーアサシンブラザーズ」のお手柄と言っていいでしょう。喧嘩、いやスポーツ感覚での殺し合いは、不謹慎ながら「青春」そのもの。大変な良キャラで殺してしまうには惜しい逸材でした。少年マンガなら敵から味方への鞍替えするパターンかと。結末の表現をみるにその可能性はゼロでは無さそう。リアリティよりエンターテイメント性を重視している作品ゆえ、密かに彼らの復活を期待しています。
総じて前作より観易くなったと感じました。つまり娯楽作品として大衆性を身に着けたということ。これは前作の感想で指摘したポイントであり歓迎すべき変化ですが、前作が「思わず10点を付けかけた8点」であるのに対し、本作は「7点以下にはならないが9点10点にもならない8点」とニュアンスに違いがあります。喩えるなら前作が「球速160㎞の荒れ球投手」で本作が「制球力ある150㎞投手」。後者の方が優秀ですが、浪漫があるのは前者だったりもします。贅沢なお願いで恐縮ですが、本シリーズには制球力ある170㎞投手を目指して頂きたいです。
TV連ドラ『エブリデイ!』に劇場3作目『ナイスデイズ』も控えており、ビジュならぬ人気爆発している本シリーズ。嬉しい限り。ナイスデイズのキャッチコピーなんて無視してじゃんじゃん続編をつくってください。期待しています。