1.《ネタバレ》 観終わってからグレタ・ガルボのプロフィールを見て初めて、彼女がスウェーデン出身だと知ったのですが、これはまさにガルボ入魂の一作と言えるのではないでしょうか。
序盤の、彼女の政治信念を語り国民の幸福を願うシークエンスが実に格好良く、この時点でこの映画は最後まで絶対面白いと確信。
一番の見どころは、クリスティナ女王演じるガルボの演技に尽きると思うのですが、酒場での堂々とした立ち振る舞いや、朝の読書の後その辺に積もっていた雪でゴシゴシと顔を洗うスギちゃんばりのワイルドさを見せたと思いきや、スペイン大使に同じ部屋に泊まらせてくれと言われた辺りからのおどおどした雰囲気、寝る前にお互いに服を脱ぎ彼女が上着を脱いで弱々しく佇む姿を見せる一連の変貌ぶりが素晴らしい。
極めつけは翌朝、部屋の中のあらゆる物に触れ愛し合った記憶を留めんとするこなしの端麗さ!
酒場でのアントニオ「南国でないと愛は生まれない」など、何処ぞと言わんばかりのラブシーンでしょう。
更には、宮殿に来た男の方が再会に驚くという“逆ローマの休日”をやっているのも楽しい。
また、彼女の表情のクローズアップをラストを含め要所要所で用いるなど、メリハリのあるカメラワークも効果的。
ラストは悲しい結末になってしまいましたが、亡くなる前に聞いていた目指すべき場所へ船首を向けるクリスティナ。もはや女王ではなくなってしまいましたが、その直前の王冠を外す姿も、船頭に立って一点を見つめる眼差しも非常に印象深く、最初から最後までグレタ・ガルボに魅了され存在感に圧倒されっぱなしの100分間でした。