1.マリオ・ヴァン・ピーブルズと言えば、『ジョーズ’87/復讐篇』で初めて観て、人懐っこい表情が印象的だったんですが。その後『エクスタミネーター2』を観てみたら(ええと、たぶん木曜洋画劇場です)、これまたマンガのようなスゴイ悪役ぶりで、大ウケしてしまいました。まさかこんなヒトが監督業に乗り出すとは夢にも思わなかったんですけどね。その彼の監督作品、いやがコレなかなかの意欲作。内容的に欲張り過ぎな面は確かにあって、黒人ギャングとマフィアの抗争があるかと思えば、警察側にも、人種間の摩擦や友情があり、ギャングへの個人的な憎しみがあり。虚飾に満ちた栄光、転落、そして不合理。という盛り沢山の内容で、これらを料理しきれずいささか散漫な印象は残ります。でも、いいじゃないですか。これだけ骨太な作品もなかなか貴重。丁寧な演出にも好感が持てます。監督本人も重要な脇役で登場し、端正な顔だちを見せてくれています。入魂の一作。