2.山田洋次監督の「家族」、「故郷」に続く三部作の最終作ともいわれている作品。前の二本では一つの家族が新天地を目指して旅立っていく物語だったが、本作では趣を変え、田舎の青年団が統一劇場の公演を成功させるまでを描いたドキュメンタリータッチの作品となっている。最初は淡々とした展開にやや退屈に感じていたが、いつの間にか引き込まれ、公演開催のために奮闘する若者たちの情熱が徐々にこちらに伝わってきて、彼らに感情移入せずにはいられなくなり、見終わってとても感動した。山田監督らしい暖かい視線がどの人物にも注がれていて、見ていて優しい気持ちになれる。それにやはり、こういう映画こそ山田監督の映画の醍醐味だと改めて思うことの出来る映画で、下にも書かれている方がいらっしゃるが本当にこの時期の山田監督の映画は外れの方が少なく、いちばん監督として脂の乗った時期で、これも傑作だと思う。出演している役者たちもみんなよく、特に会長を演じる寺尾聡が素晴らしい。そしてこの映画の主題歌としてもクレジットされている劇中劇ミュージカルのテーマ曲「ふるさと」もかなりの名曲だと思う。