8.《ネタバレ》 SF的な風味付けもされてるにはされてると思いますが、大枠は彼の国伝統のノワール的な構造(オッサン・オッサン・美女+感情移入がし易そうな若造の主人公、な~んて建付けも含めて)を大々的に有している…と当初は見えているのです。が、最後まで観終わると、ソレがそうっぽいのはワリとごく最初と最後ダケで、中盤は全然(全っ然)ノワールでもナンでもなかったな…とゆーか、んで私も正直そこんトコロ自体は=観てる真っ最中は結構モノ凄~く違和感を覚えながら観てたなっちゅーか、それ自体は率直にネガティブな感想としてまずは伝えて置きたいのですね。やっぱ私、ノワールのノワールたる「ニヒル」な世界観って、実際にこの世界が正に「虚無である」ってコトそのモノの抽象だと思ってる⇒そこに、ヒトのヒトたる「虚無でないナニか」を控え目にもごく明確に主張してゆく…というさりげなさこそがノワールの最大の醍醐味だと、比較的強力にそー思ってしまってるので在りますのよね。
がしかし、違和感を覚え…と言いつつも、その中盤の長い長いマロいふたりのシーンのクオリティ自体は実に素晴らしくシャレオツだったとも思いますし、冒頭からもな~んか妙に「リズムの好い」映画だな…と思って居たりもして(音は大して鳴らずとも⇒これは確かに「音楽」なのだ、と)加えて言うならばジュリエット・ビノシュの類稀な可憐さその他諸々といい(⇒今作のこのジュリー・デルピーをも全く寄せ付けないってのはスゴすぎる)てゆーか今作のビノシュは中々に=映画史に残るべきってレベルに実に卓越した仕事を成し遂げるな~と思うのですよね。若いのに、否、その若さも含めて、且つは思いっ切り年上&年下のふたりの男の狭間に揺蕩うっちゅうモロ出しの二面性の見事な表現も含めて、個人的にはあの『レオン』のマチルダ=ナタリー・ポートマンを少し思い出しちゃったりもしましたよね⇒作品としてはコッチの方がフツーに先行ですケドも。
んで結局、中盤で結構(個人的には)盛り下がったりもしたものの、最終的には=コレはたぶん(少なくとも単なる)ノワールじゃない…と悟った上で最後まで観終わった暁には、好い~映画ジャ~ン!!と完全に思い直すに至りました。前述した(私の思う)ノワールとは違って、もっと青臭く・もっとプリミティブに・プリミティブなナニかを叩きつけて来る様な=ある種の「叫び」の様な映画だ、とは思いつつも、その絶叫の内容自体には結構思いっ切り共感できちゃった、と言うしかないのです。最終手段として、男って「格好好く死ねればソレで好い(⇒多くは、愛する人の為になら)」という選択肢を最後まで捨てるべきじゃねーんだよな…とゆーか、とか言いつつも(再び)もうそんな価値観の青春映画がつくられる時代なんて二度と来ねーわ!(否、来るべきですらねーわ!)とゆーか、書いてて思いますケド私も中々こーいうトコロのアップデートが侭ならない人間なんすよね………結論、もう一点加えようかを少しダケ迷ったコトを潔く告白しつつ、やっぱ中盤は長ーよ、と思ったコトを言い訳にこの点数に留めておきます。追伸、三部作らしいので他のも観ます。