1.《ネタバレ》 かつてハリウッドの古き良き時代のミュージカル映画が世界を魅了しましたが、その時代に幕を下ろすには相応しい華やかな一品です。天才J・ケリーがメガホンをとった最後のミュージカルでもあります。振り付けはM・キッドなのでJ・ケリーの様なモダニズムを追求したダンスではありませんが、かえって昔の『ショウ・ボート』みたいな懐かしさに溢れている映画だと思います。それでもあのレストランでのウェイターのダンスには、J・ケリーらしいダイナミズムが感じられました。それにしてもレストラン“ハーモニア・ガーデン”や19世紀末のNYの街並み、美術にはもの凄いカネをかけているのが良く判ります。 W・マッソーはあの歌唱力ではミス・キャストなのでしょうが、B・ストライサンドはもう「さすが」としか言いようがありません。この映画のときは『ファニー・ガール』の翌年でまだ27歳ぐらいですから、すでにここまで完成された歌唱力を持っていたとはこの人怪物ですよ。サッチモ御大とからんでも全然貫禄で負けてないのもまた凄いところです。さすがにダンスは見せませんでしたが、これがS・マクレーンが主役なら踊りまくるところでしょう。