12.クロサワ節炸裂。これは映画なのか。もはや、演劇の中継を観ている気分というか、いやそれこそ、カブキ中継でも観ている気分になるのですが。冒頭のカットなどは、「先生」の登場を、扉に固定したカメラと、画面外から聞こえる喧騒で表現するあたり、“映画の企み”と言えなくもないかも知れませんが、これとて、舞台演劇でもとりそうな手法。そしてあとはもう、演劇中継よろしく、一歩も二歩も引いたカメラが視線を適宜入れ替えつつ、俳優たちの演じる世界を捉え続ける、という趣向。しかしその中に時々、映画ならではの切り返しがあったり(壁だったハズの場所にカメラが置かれる)、時間や空間を超えてシーンが繋ぎ合わされたり。映画の内容は、いくつかの独立したエピソードからなり、(『夢』で見せたように)オムニバスに近く、その点では構成に弱さがあるかもしれませんが、もうそんなことどうでもいいくらい、おおらかな気持ちになる映画、でもあります。ジジイがビールを一気飲みするという、ただそれだけの手に汗を握るサスペンス。ラストシーンはほとんど『2001年宇宙の旅』。所ジョージは大役を見事にこなしてさすがだけど、坂東英二は変だ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-03-01 22:29:20) |
【ホットチョコレート】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-06-27 11:36:33) |
10.退屈だという人も多いが、僕にはエピソードの一つ一つが楽しくて、退屈する場面は一つもなかった。凡人にない感性を持つ人をみんなが大事に守ろうとする気持ちプラス「師」に対する敬愛の念が一緒になってこの作品を支えている。その分、先生自身は「天然」な存在に仕立て上げられていて、それはそれで物語としては成立しているように思う。内田百閒は未読だが、彼自身が自分をどのように語っているのか、この映画を見て読んでみたくなった。映画で気になったのは第一回まあだ会で、スピーチの代わりに延々と釧路から鹿児島まで鉄道の駅の名前を暗誦していた人。宮崎映画だったら、あのあたりみんな一山まるごとひとくくりという描写で済ませそうなものだけれど、一人一人あんなふうに話しをさせて、しかもかつお話のメインの流れの外においてしまうというのが、物語の物語を犠牲にしながら現実とのリンクを保とうという意識を感じた。 【小原一馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-03-10 22:52:49) |
9.《ネタバレ》 ユーモアへの回帰。「まあだだよ」と言って優しくなった。あの4人の中に所ジョージがいることで、TVっ子の僕としては非常に見やすかった。『影が怖い』『猫がいなくなって尋常なく落ち込む』という、人間の、生物の原初的な感覚を優しく描いた映画だと思う。こう…「姿三四郎」から「まあだだよ」まで。一気に観て(幾つか未見アリ)感じたのは、黒澤明って感覚の王道をいってるなあと。若いときはオラオラのガンガン。力強いメッセージ性をエンターテイメントに封じ込めるという、20代の僕としては「やったぜ黒澤!」的な作品。なんていうのかな。徐々に社会に訴えることから、人を認めはじめるっていうんでしょうか。「なんとかしようぜ!」ってところから「まあそれもそうかなあ」にシフトしていく、みたいな。ヒューマニズムの表現方法が変化していくのが興味深く、それが僕にとっての黒澤作品の楽しみ方だったと今感じています 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-22 23:40:32) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 しみじみ良かったです。最初の教室に漂うタバコの煙になんとも言えない迫力があります。戦後の焼け野原を再現したセットも素晴らしい!(低予算のはず)。何もかも空襲で焼け、どうにか建てたバラックに住んでいる先生を、訪ねた時に月を見ながら所さんが言うセリフが秀逸。宴会の場面では生徒、皆活き活きしていて黒澤監督のこだわりが随所に見られるとても見ていて気持ちいい。それに楽しい宴会は進駐軍すら追い払う!!先生の事を尊敬してやまない生徒にユーモアにたけた先生いい関係ですよね。う~んなんだかいろいろ言われてる作品ですけど黒澤明、最後の会心の一撃と言ってもいいのでは? 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-08-12 23:11:33) (良:2票) |
7.昔、教師と生徒はこんなに信頼しあっていた。たぶんそうだと思う。名物教師の話、どこにでもあったんじゃないかなぁ。ただ、猫がいなくなったエピソードがやたらくどくて、彼があそこまで落ち込む理由が描かれていないので理解不能。夫婦には子供がいなくて子供のように可愛がっていたとしても、彼の妻よりも愛していたはずもなく。しっかりせいよおじさん、と言いたい。まわりの奮闘ぶりもややマンガチックではないか。そう「サザエさん」のようである。主人公は波平といったところか。誰もが歳をとる。現実はこんなに甘くはないだろうが、歳をとるのもそう悪くないものだ、そう思わせる作品でしょう。 【wish】さん 8点(2004-02-22 18:55:15) |
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6.悪い人間が全くいないって事がこの映画の内容を退屈にしている気もするけど、そのおかげでのびのび見ることが出来たので個人的には良かった。オイッチニもなんか好きだし。 【ボーリック】さん 8点(2004-01-14 21:37:30) |
5.《ネタバレ》 題名の元となる同窓会での師弟の掛け合いのシーンは、黒澤ならではのダイナミックさと純粋さが、大いに胸を打つ。空襲で周囲が焼け野原となり、バラックのような小さな家で年老いた夫婦の暮らしぶりを、季節の移り変わりと共にロングショットで端的かつ抒情豊かに表現してみせる演出は、処女作『姿三四郎』を思わせ、やはり、ただただ感涙。 【なるせたろう】さん 8点(2003-09-27 16:56:27) |
4.すごく好きな映画。どうして平均点が低いのか謎。でも具体的にどこがいいと言われると困るんですよねwそんな映画なんです。全体的な雰囲気だったり、見終わったあとの感じがいいのかな・・・?一言で言えばやさしい映画なんです。そう、そこが良いんです。 |
3.私は尊敬出来る先生や上司には出会えなかったので、単純に羨ましい。 【たーしゃ】さん 8点(2003-04-15 23:20:50) |
2.みんな、この映画を貶すんだけど、僕は大好きです。亡き淀川さんが、この映画を大嫌いと罵倒したおすぎを「老人には老人にしかわからないことがある。若造のお前が生意気なことを言うんじゃない」と叱り飛ばし、その後でこの映画がジョンフォードの「長い灰色の線」へのオマージュであることを具体的に解説、おすぎが「不勉強だった」と反省した話を聞いたことがある。「男」の先生と「男」の生徒でやってるところがこの映画の命。「黒澤の自画自賛はないの」と揶揄する人もいるが、身近に尊敬できる年長者を持っている人なら、この映画の良さはわかるはず。素晴らしい映画です。大好きです。 【ひろみつ】さん 8点(2003-03-01 16:35:00) (良:1票) |
1.宴会シーンが最高!いまだかつてこれほど見事に酒席を描いた映画はあったろうか? 【nobaki】さん 8点(2002-05-07 12:28:03) |