1.<ディレクターズカット版>というヤツしか見ておりませんが。実在の山賊、サルヴァトーレ・ジュリアーノが主人公。義賊として伝わる彼を、そのまんま義賊として、民衆のために戦う善良な青年として描くワケですが、だからといって、単に“金持 vs 貧乏人”という対立軸で描いていないところがミソ。何と言っても、テレンス・スタンプ演じるマフィアの親分の強烈な存在感。出番は必ずしも多くなくても、映画の基底にはつねに彼の存在があり、彼こそがこの映画の不変の絶対軸。いわば、本作を支配しているのは、シシリー独特の世界、その“宿命”、ですね。主人公は精一杯戦う、しかしシシリー人としての血、その“宿命”には決して抗うことはできない。この映画でも見所のひとつはやはり、雄大な自然の風景、ということになるわけですが、本作におけるこの“自然”は、主人公の“宿命”という運命論的な薄暗さをも巻き込み、その土地のすべてを支配する、その土地に宿る神というか、ご先祖サマといか、そういう視点ですな。