2.《ネタバレ》 評価が低めなのは、本物の大阪っぽくないから?と私は感じてしまいました。あんまり、コテコテって感じじゃないんですもん。池脇千鶴が立っている街角はどことなく異国風。でも、それも大阪らしさの1つなのかな、実は。どうなんでしょう?
あともう1つ感じたのは、この映画の底流に流れているのは、ある程度節度のある一種の「諦観」なので、そのあたりも、見る人をとても選んでしまう作品なのでは、と。だけど、私のような、もう人生の下り坂にいて、かつて中学2年のときに爆発的なタイガースブーム(ベースボールとはちゃうで~)を経験し、またさらに不倫から結婚に至る沢田・田中夫婦の人生航路も見てきたような関東人女性の立場からすると、「しみる」んですなあ、これが。後半、若い二人のロードムービーとしての味わいもいい。このあたり、音楽とのコラボレーションも快調で、彼との突然の別れのシーンへの勢いもいいです。沢田演じるお父ちゃんのキャラはいかにも幼児的で、そういう男を擁護する映画は、ときに辟易するときもありますが、これはそこはかとない諦観に共感を禁じ得ない。全共闘時代を背景に、何に対しても燃えられずドロップアウトした男の末路が淡々と描かれている点、また現実にひょんなことからスターになってしまった沢田の、「ほんまのおれはあんなんとちゃうかったんや」・・みたいなつぶやきともとれて、彼の出演作を見た中では、この作品が一番心にしみました。チーちゃんファンだけでなく、40代以上の方にこそぜひ見てほしい映画です。